六訂版 家庭医学大全科 「急性精巣上体炎」の解説
急性精巣上体炎
きゅうせいせいそうじょうたいえん
Acute epididymitis
(男性生殖器の病気)
どんな病気か
精巣(
ところが、この逆の経路で尿のなかの細菌が精巣上体に入り込み、そこで炎症を起こす病気が精巣上体炎です。
原因は何か
通常、尿には炎症を起こすほどの細菌はいません。しかし、前立腺肥大症、
一方、青年層にみられる場合は、性病のひとつである尿道炎から引き起こされます。尿道炎の原因であるクラミジアや
症状の現れ方
陰嚢内の精巣上体の一部の軽い痛みで始まります。自覚症状としては精巣そのものの痛みのように感じるかもしれません。徐々に
検査と診断
尿検査で尿中の白血球や細菌を検出します。クラミジアが疑われる場合も尿で検査できます。細菌については、その種類とどのような抗生剤が効くかを同時に調べますが、細菌が検出されないこともしばしばあります。また、全身への影響をみるため、血液検査で炎症反応などをチェックします。
精索捻転(せいさくねんてん)症や
治療の方法
尿路感染症に有効なペニシリン系(ユナシンなど)、セフェム系(セフゾンなど)、ニューキノロン系(クラビットなど)などの抗生剤の経口投与と、局所の安静、冷却を行います。サポーターなどで陰嚢を挙上(持ち上げる)することで症状が和らぎます。発熱などの全身症状がみられる場合は消炎鎮痛薬の投与とともに、入院したうえで安静を保ち、点滴による治療が必要になります。
発熱を伴う急性期の炎症は1~2週間でおさまりますが、精巣上体のはれやにぶい痛みは数カ月続く場合が多く、時には精巣上体に硬いしこりが残ってしまうことがあります。初期の治療が不十分だと炎症が悪化してうみがたまり、陰嚢を切開してうみを出さなければならなかったり、精巣を含めて精巣上体を摘出しなければならないこともあります。
病気に気づいたらどうする
適切な抗生剤を早期に使用することによって比較的治りやすい病気ですが、悪化すると治療が困難になり慢性化してしまったり、精巣を摘出しなければならないことがあります。さらに
関連項目
岸田 健
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報