性器ヘルペス(読み)せいきへるぺす(英語表記)Genital Herpes

  • (感染症)
  • Herpes genitalis (female)
  • Herpes genitalis (male)
  • じょせい
  • だんせい
  • 女性
  • 性器ヘルペス Genital Herpes
  • 男性

家庭医学館の解説

[どんな病気か]
 ヘルペスウイルスの一種である単純疱疹(ほうしん)(単純ヘルペス)ウイルス(HSV)1型、または2型の感染によりおこります。おもに外陰(がいいん)に感染し、水疱(すいほう)や潰瘍(かいよう)ができます。性器ヘルペスは、性交によって感染する代表的な病気です(性感染症、STD(「性感染症(STD)とは」))。
[症状]
 この病気は、急性型と再発型に分けられます。
■急性型(初感染)
 HSVの感染の機会(性行為など)から3~7日目ごろに発症するタイプで、HSV1型、あるいは2型が原因となります。
 まず、外陰に軽いかゆみがおこり、その後間もなく、強い痛みと腫(は)れを感じます。小陰唇(しょういんしん)の内側や大陰唇(だいいんしん)の左右対称部位に水疱が多発し、数日のうちに破れて潰瘍となります。鼠径部(そけいぶ)のリンパ節が腫れて痛むこともあります。
 このタイプは性行動の活発な女性に多発し、痛みのため歩けなくなったり、排尿がしにくくなることがあります。
■再発型(潜伏(せんぷく)感染の再活性化)
 すでに体内に潜伏感染しているHSV(おもに2型)が、疲労、月経、病気などをきっかけに外陰部に発症するもので、水疱や潰瘍がくり返し現われるタイプです。一般に、性交とは無関係で、症状も急性型よりは軽いのが特徴です。
[検査と診断]
 病状とその経過、外陰部の特徴的な症状などでほぼ診断されますが、血液中にHSVの抗体が証明されたり、病変部位からウイルスが分離同定されれば、診断は確定的です。
 痛みをともなう外陰潰瘍を主症状とする疾患として、ベーチェット病(「外陰部ベーチェット病」)がありますが、ベーチェット病の潰瘍が広くて深く難治(なんち)性なのに対し、HSVでは小さく浅いことから、比較的容易に鑑別することができます。
[治療]
 急性型は3~4週間で自然に治りますが、アシクロビルという抗ウイルス薬の点滴(重症の場合)、内服、軟膏(なんこう)塗布で、1週間ぐらいで治るようになりました。

出典 小学館家庭医学館について 情報

六訂版 家庭医学大全科の解説

どんな感染症か

 主に性行為によって、単純ヘルペスウイルス(HSV、単にヘルペスウイルスともいう)が性器に感染して起こる病気です。

 発症のしかたには、初発型(急性型)と再発型があります。前者は初めて感染して発症する場合です。それが治っても、このウイルスは体内の神経節に潜伏し、何らかの刺激があると再び暴れ出し、神経を通って皮膚や粘膜に現れて病変をつくることがあります。これが再発型です。

症状の現れ方

●初発型(急性型)

 初感染の場合は、一般に症状が強いようです。外陰部(女性性器の外側の部分)の激しい痛み、排尿痛、鼠径部(そけいぶ)(ふとももの付け根)のリンパ節のはれや圧痛(押すと痛い)などが現れます。

 しばしば発熱や頭痛も伴います。外陰部には、小さな浅い潰瘍性(かいようせい)の病変(皮がむけたような状態)が多発します。時には水疱性(すいほうせい)(水ぶくれ)の病変も現れます。

 このような症状は、性行為などの感染の機会があってから2~7日くらいおいて発症するのが普通です。

●再発型

 再発の場合は、症状は比較的軽く、痛みはあまりなく、違和感、かゆみといった程度です。しかし、繰り返し再発すると大変わずらわしく、下着などが触れると痛んだりして、これらが精神的なストレスとなり、なかなか面倒です。

 疲れたり、月経が近くなったりすると発症する人が多いようです。

検査と診断

 典型的な場合は症状で診断できますが、そうでない時は単純ヘルペスウイルスを分離したり、DNAを検出したり、感染した細胞を検出して診断します。

治療の方法

 単純ヘルペスウイルスに有効な薬剤(ゾビラックスやバルトレックス)を、初感染では5~10日間、再発では5日間程度、服用します。重症の場合は、入院して点滴静注も行われます。

 性器ヘルペスは、これらの薬を使って最初は治っても、再発することが少なくありません。単純ヘルペスウイルスには1型と2型があり、とくに2型の感染では再発頻度が高いことが知られています。1年に6回以上も再発する場合は、毎日継続的に抗ウイルス薬を服用する方法(再発抑制療法)が保険で行えるようになりました。この療法を行うと再発を抑えるばかりでなく、パートナーなどへの感染も防げるので、身心のストレスが軽減できます。

病気に気づいたらどうする

 単純ヘルペスウイルスは他人にうつるため、早急に正しい診断をしてもらう必要があります。前述のような症状があったら早めに産婦人科を訪れてください。

 とくに妊娠している人は、このウイルスが新生児に感染すると死亡することがあるので、早めに対処してください。

川名 尚

どんな感染症か

 性器ヘルペスは、性的接触によって感染する代表的な性感染症(STI)のひとつです。原因は、単純ヘルペスウイルスの1型または2型の感染です。一度感染すると、体内に潜伏感染して再発を繰り返すことがあります。

症状の現れ方

 外陰部または口唇周囲からウイルスを放出している人との性的接触(オーラルセックスを含む)後、2~10日の潜伏期をへて、外陰部(陰茎包皮(いんけいほうひ)周囲)に複数の痛みを伴う小さな水疱(すいほう)と浅い潰瘍が現れます。

 ほかに鼠径(そけい)リンパ節がはれたり、尿道炎によって分泌物が出たり、全身倦怠感(けんたいかん)を感じることもあります。ウイルス放出者は、無症状の場合も多いようです。

検査と診断

 水疱の内容液または潰瘍基底部の擦過物(さっかぶつ)を、直接蛍光(けいこう)抗体法によって調べて確定診断します。ただし、陽性になる診断率は半分程度なので、視診による診断をせざるをえない場合もあります。血清抗体による診断は、診断価値が高くありません。

治療の方法

 ウイルスの増殖を抑える経口の抗単純ヘルペスウイルス薬〔バラシクロビル錠(バルトレックス錠)〕などを5~10日間服用することで、症状が早く軽快します。

 しかし、とくに2型のヘルペスウイルスは、体内に潜伏感染して体調不良の時に再び活性化し、同じ部位に水疱や潰瘍の再発を数カ月ごとに繰り返すことがあります。

 一般的に、再発時の症状は初発時よりも軽度ですが、年に6回以上再発を繰り返す場合には抗ウイルス薬を継続服用する治療法がありますので、専門医に相談する必要があります。

病気に気づいたらどうする

 外陰部に潰瘍ができる梅毒など、ほかの性感染症との区別が重要なので、皮膚科または泌尿器科を受診してください。また、必ずパートナーにも受診してもらい、適切な診断・治療をすることが必要です。

広瀬 崇興

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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