( 1 )[ 一 ]は「あやしぶ」とともに平安時代初期から使用されているが、院政期頃を境に「あやしむ」が多用されるようになり、「ぶ」と「む」の交替の可能性も考えられる。平安時代にはおもに漢文訓読系の文献で用いられ、和文での使用は稀で「源氏物語」では挙例の一例だけである。和文で多用される「あやしがる」と比べて、態度・言動を伴わない内面的な心理作用に用いられることが多い。
( 2 )「文鏡秘府論保延四年点」(一一三八移点)には「アヤシムル」という例がある。[ 二 ]の下二段活用の古い例と見ることもできるが、「あやしむ」にも古く上二段活用があったとも考えられる。→「あやしぶ」の語誌