恥・羞・辱(読み)はじ

精選版 日本国語大辞典の解説

はじ はぢ【恥・羞・辱】

〘名〙 (動詞「はじる(恥)」の連用形の名詞化)
① 面目を失うこと。名誉を傷つけられること。侮りを受けること。不名誉。物笑い。また、弱味。恥部。
※万葉(8C後)三・四〇一「山守のありける知らにその山に標(しめ)結ひ立てて結ひの辱(はぢ)しつ」
※大唐三蔵玄奘法師表啓平安初期点(850頃)「謬って緇徒に歯はりて、慙(ハチ)有ること光替なり」
② 名誉を重んずること。名を惜しむ心。恥ずかしいと思う気持。廉恥心。羞恥心。
※平家(13C前)五「恥をもおもひ、名をも惜しむ程のものは、奈良坂にて討死し」
③ 人の陰部。〔日葡辞書(1603‐04)〕

はずかし・い はづかしい【恥・羞・辱】

〘形口〙 はづかし 〘形シク〙 相手に比べて自分が劣っていることを意識する場合に抱く心情を表わす。
① 過ち、欠点、罪などを悟って面目なく感じるさま。きまりが悪い。
※万葉(8C後)一八・四一〇八「里人の見る目波豆可之(ハヅカシ)左夫流児にさどはす君が宮出しりぶり」
※竹取(9C末‐10C初)「ただに、病み死ぬるよりも、人聞はづかしく覚え給ふなりけり」
② 自らひかえめになるようなさま。気詰まりである。遠慮される。気が許せない。
※枕(10C終)一二四「はづかしきもの、色このむ男の心の内。いざとき夜居(よゐ)の僧」
③ こちらが気おくれするほど、相手が優れているさま。立派である。感心である。美しい。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「我が司の佐もはづかしき人ぞや。左大将のみこ、左のおとどのみこぞかし。いとはづかしきあたりなり」
[語誌](1)①の挙例「万葉」の「波豆可之」は、他人の目を意識して自分を責め恥じる意で、上代では類義語に「やさし」「おもなし」がある。「やさし」は「日本霊異記」で「はづかし」とほぼ同意に扱われ、「おもなし」は顔があげられないほど恥ずかしく思うのをいい、のちの「面目なし」にあたる。
(2)平安時代には、①の意の他に②があり、さらには③のように自分が恥ずかしくなるほど立派であると相手を評する例が多く見られるようになる。いずれも周囲を強く意識したもの。
(3)平安時代からの類義語に「つつまし」があり、「保元物語」などには「見る」との関連で「めはずかし」という語も見られる。
はずかし‐が・る
〘自ラ五(四)〙
はずかし‐げ
〘形動〙
はずかし‐さ
〘名〙

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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