家庭医学館 「悪性線維性組織球腫」の解説
あくせいせんいせいそしききゅうしゅ【悪性線維性組織球腫 Malignant Fibrous Histiocytoma】
最初は軟部腫瘍(なんぶしゅよう)(コラム「軟部腫瘍とは」)として、この病名がつけられたのですが、その後、骨にもできることが明らかとなり、骨の病気としても悪性線維性組織球腫という腫瘍名がつけられています。
比較的に高い年齢層によくみられる病気です。50歳代にもっとも多く、以下、40歳代、60歳代の順になっています。
発生しやすい部位は、大腿骨(だいたいこつ)(ももの太い骨)、上腕骨(じょうわんこつ)、脛骨(けいこつ)(すねの太い骨)などの長管骨(ちょうかんこつ)(大きく長い筒状の骨)と、骨盤(こつばん)です。
[症状]
初期の症状は、痛みです。まれですが、腫瘍のために骨がもろくなり、病的骨折がおこり、急激な痛みを感じて発見されることもあります。
[検査と診断]
診断は、X線像、CT、MRI、骨シンチグラフィー(アイソトープによる画像で腫瘍を見つける検査)などの画像検査のほか、最終的には、腫瘍の一部をとって顕微鏡で調べる検査(生検(せいけん))を行なって決定します。
[治療]
多くの場合、手術だけで治ります。
腫瘍が巨大でなければ、腫瘍を正常な組織を含めて切る切除術と、その部分の再建術が行なわれます。
切除が不可能な場合は、腕や脚(あし)などの切断術を行ないます。
非常に悪性度の高い場合は、転移を防ぐため、抗がん剤の使用など、補助化学療法が行なわれます。
また、手術が不可能な部位に腫瘍ができた場合は、放射線療法が行なわれます。
日本整形外科学会がまとめた記録によると、この病気にかかった人の手術後の5年生存率は48%です。
しかし、治療を始めたときに転移がない例では、手術後の5年生存率は55%となっています。