戦争権限法(読み)センソウケンゲンホウ(その他表記)War Powers Act; War Powers Resolution

デジタル大辞泉 「戦争権限法」の意味・読み・例文・類語

せんそうけんげん‐ほう〔センサウケンゲンハフ〕【戦争権限法】

米国大統領戦争に関する権限制約する法律。大統領は軍の総指揮官としての権限を有するが、同法は、敵対行為等に対する軍の投入に際し、大統領と連邦議会共同で判断することを求めている。1973年制定。
[補説]連邦議会の戦争宣言がないまま大統領が軍を投入した場合、48時間以内に議会に報告する義務があり、議会の承認が得られない場合は60日以内に軍を撤退させなければならないことなどが規定されている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「戦争権限法」の意味・わかりやすい解説

戦争権限法[アメリカ合衆国]
せんそうけんげんほう[アメリカがっしゅうこく]
War Powers Act; War Powers Resolution

アメリカ合衆国大統領がもつ,連邦議会(→議会)の同意なしに戦争行為を行なう権限に,制約を設けた法律。1973年にリチャード・M.ニクソン大統領の大統領拒否権をこえて成立した。アメリカ合衆国憲法では,宣戦布告の権限は議会にあるが,朝鮮戦争ベトナム戦争などは議会の宣戦布告なしに開戦している。ベトナム戦争への反省から,また第2次世界大戦後に過大となった大統領権限に議会が歯止めをかけるために制定された。大統領が外国への軍隊派遣を決定するときは事前に議会と協議すること,軍の投入後 48時間以内に書面で議会に報告を行なうこと,議会が承認せず宣戦布告を行なわない場合は 60日(必要がある場合は 90日まで延長可)以内に軍事行動を停止することなどが定められている。多くの歴代大統領は,戦争権限法は大統領の権限を侵すものであり違憲とする立場をとってきた。

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