戸津(読み)とづ

日本歴史地名大系 「戸津」の解説

戸津
とづ

現下阪本三―六丁目付近の琵琶湖岸に比定される。富津・途津とも記し、三津みつ浜の一つとも、その別称ともいう。三津浜は戸津および志津しづ今津いまづからなるとされるが、「輿地志略」は唐崎からさきから四ッ家柳よつややなぎ(現在の四ッ谷川付近)を志津、天台宗東南とうなん(現下阪本三丁目)付近一帯を今浜と称し、両地域を富津につくり、その総称を三津浜とする。「大日本地名辞書」には「三津とは成務天皇志賀の高穴穂にましませしなれば、坂本の津を御津とは書すなり」とある。御津みつの浜は名勝地で、「新古今集」には前大僧正慈円の「もろ人のねがひを御津の浜風に心すずしきしでのおとかな」の歌が載る。また「万葉集」巻九に載る「三川淵瀬も落ちず小網さすに衣手濡れぬ干す児はなしに」の三川を御津川とし、現在の坂本付近を東流する四ッ谷よっや川、あるいは大宮おおみや川に比定する説がある。

〔坂本の津〕

「天台座主記」によると、天元二年(九七九)四月の延暦寺地主三聖祭には、竜頭鷁首船に乗った伶人二〇余人が歌舞・妙曲を尽して、「富津浜」より唐崎に至ったことが知られる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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