打越寺(読み)うちこしでら

日本歴史地名大系 「打越寺」の解説

打越寺
うちこしでら

[現在地名]日和佐町山河内

打越にある。高野山真言宗。駅路山と号する。本尊弘法大師奥河内の薬王おくがわちのやくおう寺の末寺で、永禄四年(一五六一)に賢徳が開いたという。山号の駅路山は徳島藩が領内の往還のために設定した駅路の寺院であることを示すもので、慶長三年(一五九八)「日和佐村打越寺」に寺廻一〇石を付与されているほか(同年三月「蜂須賀蓬庵宛行状」薬王寺文書)、三ヵ条の掟書(同文書)には往還旅人の一宿のために建立したので、遍路の者、出家、侍、百姓に限らず、宿を求めてきたときには似合いの馳走をするよう指示している。また山賊・盗賊などについては勝屋(庄屋)・政所らに告げ知らせるべきこと、寺院に集まって一揆を企てる輩についても通報すべきことが命じられており(同文書)、蜂須賀家の領内統治の一端を担っていたと考えられる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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