抵当権設定時または抵当債務の弁済期前の特約によって、債務が弁済されなかったときは、弁済にかえて抵当目的物の所有権を債権者に当然に帰属させ、あるいは債権者が任意の方法で換価して弁済にあてることをいい、流抵当(りゅうていとう)、流れ抵当ともいう。このような特約は、質権では原則として禁止されているが(民法349条)、抵当権については、このような禁止規定がないので、判例、学説ともにこれを有効と解している(ただし、この特約が、債権者の暴利行為にあたるときは、民法90条により無効となる)。
もっとも、流抵当の特約がなされても、この特約を登記する方法がなく、担保当事者以外の第三者には、この特約を主張することができない。そこで、一般的には、抵当物件を目的とする代物弁済の予約ないしは債務不履行を停止条件とする代物弁済契約をして、これに基づく仮登記をすることが行われている。
[竹内俊雄]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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[効力]
(1)抵当権の中心的効力は,債務の弁済がなされない場合に,目的物の価額から優先弁済を受けることである。優先弁済を受ける方法としては,当事者間の契約によって,質権の場合のように抵当権者に目的物の所有権を取得させたり,その他法律によらない方法でこれを処分することも可能である(流(ながれ)抵当,抵当直流(じきながれ))。しかし通常は,目的物を競売し,その代価から配当を受けるという方法がとられる。…
※「抵当直流」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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