掛物・懸物(読み)かけもの

精選版 日本国語大辞典 「掛物・懸物」の意味・読み・例文・類語

かけ‐もの【掛物・懸物】

〘名〙
① 物をかけておく具や台。
書紀(720)大化三年是歳(北野本訓)「其の鍾の台(カケモノ)中庭(おほは)に起(た)てよ」
書画を軸物に表装し、床の間や壁などにかけて飾りとし、または鑑賞するもの。書を掛字、絵を掛絵という。また、書画ともに掛字ということもある。掛軸。掛地(かけじ)。掛図。
喫茶往来(1350頃)「北壁下建一双之屏風、而搆色々懸物
随筆耳嚢(1784‐1814)五「御身は軍書など講ずるなれば相応の懸物を与ふべしとて」
③ 砂糖掛け菓子の総称。砂糖をひいて作った干菓子(ひがし)。木の実、豆の類などに糖衣をかけたもの。氷掛(こおりがけ)、火掛(ひがけ)の類。掛物菓子。
④ 寝るときに体の上にかけるもの。かけぶとん。
※地を潤すもの(1976)〈曾野綾子〉一「去年までは、シャツ一(いち)で掛物なくても寝られたけど」

かかり‐もの【掛物・懸物】

〘名〙
官府に納める租税。また、町村寺社に納める金銭
※漢書列伝竺桃抄(1458‐60)公孫弘卜式児寛第二八「船にもかかりものがあるぞ」
※狐の裁判(1884)〈井上勤訳〉八「又人ありて課物(カカリモノ)の過度なることを訴たへ出なば」
② のがれられない出費
※浮世草子・傾城禁短気(1711)三「さまざまのかかり物を書立(かきたて)大臣にもめをつける」
③ 江戸時代、正規の年貢諸役のほかに領主から割りあててくる役米銭。
地方凡例録(1794)一「取箇の外にたかに掛り物出す故、一向に仕当に引合はず」
④ (眚) 目がかすんではっきり見えなくなること。目の角膜がにごる病気。〔和漢三才図会(1712)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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