生(なま)菓子に対して、水分の少ない乾いた菓子をいう。奈良時代から平安時代にかけての干菓子は、木の実の皮をむいたり、蒸したりして乾燥させたものをいい、寒食(かんしょく)の具という意味で寒具(ひがし)とも書いた。寒食とは一種の物忌みで、冬至の105日目から3日間は風が激しいとして、火を使ったものはいっさい口にしないという中国の古俗が日本に伝えられたものである。このため食物は寒食の前日に用意したが、寒具は火を禁じた日々に食べる菓子類のことであった。
奈良時代から現存する干菓子は、唐菓子(とうがし)のうちの「おこし」くらいであるが、今日の干菓子には、おこしに代表される煎(い)り種(だね)と煎餅(せんべい)を代表とする焼き種のほか、落雁(らくがん)などの打ち物、糖蜜(とうみつ)をかけた掛け物などがあげられる。また有平(あるへい)糖でつくられる有平物も、京干菓子のなかで重要な位置を占めている。京干菓子は茶道の興隆に伴い、江戸初期から今日までに目覚ましい発展を遂げたが、とりわけ種類100余りを数える亀屋(かめや)伊織の干菓子や、亀屋末広の京のよすが、井筒屋重久の如心松葉、数舗が競う八ツ橋などは高名である。
一方、洋干菓子ではビスケット、クッキー、キャンディーなどがある。
[沢 史生]
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…調布は唐まんじゅう様の皮でぎゅうひを巻き,表面に焼印を押す。(5)生菓子(なまがし) 水分が多く変質しやすい生物(なまもの)の菓子の意で,干菓子に対する語。種類はさまざまで,前記の餅菓子以下の大半はこれに属するが,それ以外に練切(ねりきり)物,ぎゅうひ物,鹿の子(かのこ),時雨(しぐれ)などがある。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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