材料試験の一種で、材料の摩耗に対する性質を調べる。一般に二つの物体をこすり合わすと摩耗がおこる。機械などで互いにすり合わさる部分は機構上重要な場合が多く、その部分の摩耗が大きいと機械の機能低下をもたらし、寿命を短くするので、材料の耐摩耗性は他の機械的性質と同様に重要である。
摩耗現象はきわめて複雑で、関係する要因も非常に多く、材料の組合せ、摺動(しゅうどう)条件、すべり速度、接触圧力、接触部の形状、潤滑剤、温度、湿度など多様である。このため材料の摩耗特性を単一の試験方法で簡単に求めることは不可能であり、摩耗試験はそれぞれの場合に応じて設定された条件下で実施しなければならない。摩耗試験は摺動条件により、すべり摩耗、ころがり摩耗、衝撃摩耗の3種の試験に大別される。また、材料の組合せについては、試験片と一定の標準物体との場合と、希望する材料間で行われる場合とがある。摩耗試験に用いられる試験機も多様であり、それぞれの目的に応じて製作されている。
[林 邦夫]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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