キリスト教信仰教育のための書物。ギリシア語katēchein(〈口頭で教える〉の意)に由来し,英語ではカテキズムcatechismという。キリスト教会はその歴史の最初の時期から受洗志願者や教会全体の教育のために教理を要約し,生活の指標を与える素材を選んで,その努力をつづけた(《ディダケー》など)。キリスト教が公認宗教となってのち,それはキリスト教的生活の維持のため〈懺悔(ざんげ)〉と結びついて行われるようになった。宗教改革者は,聖書にもとづくキリスト教教理と生活を民衆に示す必要から,改めて教理問答に取り組むことになった。中でも,ルターによる十誡,使徒信条,主の祈り,洗礼と聖餐について,〈これはなんですか〉という問いと答えの形の《小教理問答》,説教のまとめとしての《大教理問答》(いずれも1529)は信徒の信仰教育の基本的状況を示すものとして代表的である(《ルター大小教理問答》)。他の宗教改革者たちもこれに類するものを多く試みたが,カルバンの《ジュネーブ教理問答》(1542),南ドイツの《ハイデルベルク教理問答》(1563)が有名であって,影響も大きい。これに対抗してローマ・カトリック教会もトリエント公会議ののち,《ローマ教理問答》(1566)を公にし,《公教要理》として長く用いられた。
宗教改革期以後も,教会革新,信仰運動のたびごとに各派で信仰教育の刷新が行われてきたが,現代においてもその試みはつづけられている。オランダのカトリック教会の試みである《新カトリック教理》(1966)もその一つであるし,プロテスタントとカトリック協同の《新しい信仰の本》(1973)もキリスト教会一致の信仰教育書として注目されている。いずれもキリスト教の教理を現代の状況や問題とのかかわりで明らかにしようとする対話的要素をもっている。《福音主義成人教理問答》(1975)とその要約版,青少年版などに示されるドイツのルター派教会の試みも,ルターの努力を現代に生かそうとするもので,北欧各国やアメリカでも翻訳され,好評を得ている。
執筆者:徳善 義和
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