教育扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することができない者に対して、生活保護法に基づいて行われる8種類の保護措置(生活、教育、住宅、医療、介護、出産、生業、葬祭)の一つである。
教育扶助は、義務教育に伴って必要な教科書、学用品、通学用品、学校給食その他について、原則的には金銭給付の方法により、それが不可能もしくは不適当な場合には現物給付の方法により、被保護者、親権者、未成年後見人、学校長などに対して行われる。
具体的には、年度ごとに厚生労働大臣の定める基準額(平成11年度月額、小学生2150円、中学生4160円。平成21年度月額、小学生2150円、中学生4180円)が給付される。なお、高校生に対しては、前記8種の保護措置の一つとして生業扶助(就学費用)のなかで月額5300円が、また、学習支援費として、月額小学生2560円、中学生4330円、高校生5010円が給付される。学級費月額としては小学生620円、中学生740円が給付される。小中高校入学時の準備金としては、小学生3万9500円、中学生4万6100円、高校生6万1400円を上限として支給される。教材費、交通費、および夏期施設参加費、災害時学用品費など臨時的給付費目は、それぞれの必要実費を勘案して給付される。
[松井一麿]
困窮のため最低限度の生活を維持できない者に対して,生活保護法(1950)によりおこなわれる扶助。義務教育に必要な学用品,通学用品,学校給食等を範囲とし,原則として金銭給付である。さらに,〈就学困難な児童及び生徒に係る就学奨励についての国の援助に関する法律〉(1956)等により,保護者が生活保護法の対象となる者(要保護児童)とともに,それに準ずる者(準要保護児童)に対しても,市町村が国庫補助金をうけて教育補助をおこなう。その範囲は学用品,通学費,修学旅行費,通学用品費,校外活動費,新入学児童生徒学用品費,学校給食費等である。このほか,〈盲学校,聾学校及び養護学校への就学奨励に関する法律〉(1954)が障害児に対する特別の就学奨励制度を定めている。高校・大学については母子福祉資金,生活福祉資金貸付制度による修学資金貸付,および国民金融公庫・郵便貯金等の進学資金貸付制度がある。
→生活保護
執筆者:黒崎 勲
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…なお実施上の原則として,保護は本人,その扶養義務者または同居の親族の申請を要すること,保護の要否および程度は厚生大臣の定める保護基準により測定した世帯単位の需要を基に,本人の金銭または物品で満たすことができない不足分を扶助するものであること,とされている。
[種類と方法]
保護は,生活扶助(衣食の費用),教育扶助(義務教育関連費用),住宅扶助(家賃・地代,住宅補修費用),医療扶助(傷病治療関連費用),出産扶助(分べん関連費用),生業扶助(生業資金,技能修得費,就職支度費用),葬祭扶助(葬儀関連費用)の7種類に分けられ,世帯の需要に応じ単一または複数の扶助が支給される。また上記の扶助の基準額は厚生大臣が定め,毎年告示されるが,特別の事由がある場合には個別に特別基準が設定される(生活保護基準)。…
…朝日訴訟で具体的に象徴的に問題となった基準は,入院患者日用品費で当時月600円であった。教育扶助基準では,基準のほかに学校給食費,通学費,クラブ活動用具費,学級費などへの一定の上積みを認めている。住宅扶助基準では,家賃・間代などの多様性に対して,一応基準額を定めているものの,年ごとに改定される各地の第2種公営住宅家賃の最高額を標準とし,その1.3倍などという特別基準を設定することとしている。…
※「教育扶助」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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