知恵蔵 「文化庁移転」の解説
文化庁移転
文化庁は1968年に文部省(現・文部科学省)の外局として設置された。芸術文化の振興、文化財の保護・活用、著作権保護、宗教に関する行政実務等を行う。文化財が集積し伝統文化も残る京都は早くから有力な移転先に挙げられ、自治体も誘致に積極的だった。2002年には当時の文化庁長官・河合隼雄が執務拠点(長官室分室)を京都国立博物館内に設置し、15年には京都府・市・財界が一体となって政府に移転提案書を提出している。
今後、政府は「(仮)文化庁移転協議会」を設置し、16年内をめどに具体的な移行計画を決定する予定。文化庁長官を始め職員(定員233人)の大半は京都に移転するが、国会答弁の担当者などは東京に残る見通し。なお、消費者庁の徳島県移転、総務省統計局の和歌山県移転は、16年8月末までに結論を出す予定だが、特許庁、中小企業庁、観光庁、気象庁の移転は見送られ、出先機関の機能強化に止まった。
(大迫秀樹 フリー編集者/2016年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報