文月(読み)ふみづき

精選版 日本国語大辞典 「文月」の意味・読み・例文・類語

ふみ‐づき【文月】

〘名〙 陰暦七月異称。ふづき。ふんづき。《季・秋》
万葉(8C後)一〇・二〇八九「あらたまの 年の緒長く 思ひ来し 恋を尽さむ 七月(ふみづき)七日の夕(よひ)は 吾れも悲しも」

ふ‐づき【文月】

〘名〙 (古く「ふつき」とも) 「ふみづき(文月)」の変化した語。《季・秋》
書紀(720)欽明元年七月(北野本訓)「秋七月(フツキ)丙子の朔己丑に都を〈略〉磯城嶋に遷す」

ふん‐づき【文月】

〘名〙 「ふみづき(文月)」の変化した語。
古今(905‐914)雑上・九二七・詞書「ふん月のなぬかの日、おはしましてありける時に」

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デジタル大辞泉 「文月」の意味・読み・例文・類語

ふん‐づき【文月】

ふみづき」の音変化。
「―の四五日ばかり」〈後撰秋上・詞書〉

ふみ‐づき【文月】

陰暦7月の異称。ふづき。 秋》「―や六日も常の夜には似ず/芭蕉

ふ‐づき【文月】

《「ふつき」とも》陰暦7月の異称。ふみづき。 秋》

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「文月」の意味・わかりやすい解説

文月
ふみづき

陰暦7月の異称。単に「ふづき」ともいい、七夕(たなばた)月、女郎花(おみなえし)月などの称や、親月(おやづき)、蘭月(らんげつ)、涼月(りょうげつ)などの漢名もある。季は三秋の初めの月で、7日には七夕、月なかばには祖先の霊を祀(まつ)る盂蘭盆会(うらぼんえ)の行事がある。語源については、平安末の藤原清輔(きよすけ)の『奥義抄』に「此(こ)の月7日、七夕にかすとて、文どもをひらく故に、文ひろげ月といふを略せり」とあるのをはじめとして、稲の穂のふふみつき(含月)とする『類聚(るいじゅう)名物考』、この月は諸人が親の墓に参詣(さんけい)するからふづき(親月)というとする『和爾雅(わじが)』などの諸説がある。

[宇田敏彦]

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とっさの日本語便利帳 「文月」の解説

文月

七月。稲の穂の含月(ふくみづき)の意。

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