料理学校(読み)りょうりがっこう

改訂新版 世界大百科事典 「料理学校」の意味・わかりやすい解説

料理学校 (りょうりがっこう)

主として花嫁修業中の女性や主婦などのアマチュアに,すぐに役だつ料理技術とその周辺の知識を教える学校。その点で,多数の人に飲食物を提供する飲食店をはじめ,学校,病院,その他事業所の食堂などで調理業務に携わる職業人の養成を主たる目的とした調理師学校とは異なる。日本で最初の料理学校は,1882年赤堀峰吉が東京日本橋で開いた割烹教場(かつぽうきようじよう)で,それまで長期の修業を必須のものとしていた料亭料理を理論的に解明して家庭にも広めようとしたものであった。立ったままの姿勢で働ける台所を初めて採用したのも赤堀だといわれ,10年後には教場は7ヵ所も増設されていた。92年にはイギリス人のクラーク夫人が〈割烹法修練学校〉を開設し,ガス設備の完備した調理室で生徒が実習を行ったという。98年になると,惣菜から儀式料理まで,男子も学べる料理学校が四条流の包丁師石井治兵衛を主任にして開校され,大正の終りころから盛んになった各種の料理講習会や料理学校などのさきがけをなした。このように,従来は家庭生活の中で行われていた料理技術の伝承が,いわば社会的に外在化された〈学校〉を必要とするようになった背景には,西洋料理をはじめとして調理法が著しく多様化したこと,栄養食品衛生に関する近代的知識が重要視されるようになったことなどがあげられる。とはいえ,料理学校の普及が本格化したのは第2次大戦後で,とくに昭和30年代に始まったテレビの料理番組などが,高度経済成長に伴う食生活の向上を刺激したことによって急増した。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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