日本大百科全書(ニッポニカ) 「新貨幣法」の意味・わかりやすい解説
新貨幣法
しんかへいほう
通貨の額面価格の単位などについて定め、貨幣の製造および発行、種類などに関し必要な事項を定めた法律。正称は、「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」。昭和62年法律第42号。1988年(昭和63)4月施行。この施行と同時に、貨幣法(明治30)、臨時通貨法(昭和13)などが廃止された。旧貨幣法では金本位制が柱になっていたが、金兌換(だかん)そのものは1931年(昭和6)に停止され、また世界的にも、1978年に国際通貨基金(IMF)が国際協定を改正して不換制度が確立したため、法の内容は空文化していた。新法はそうした現状にあわせたもので、これにより金本位制は完全に姿を消した。
現行の貨幣法は、本文10条と、附則16条から構成される。内容は、まず通貨の単位を「円」と定め、1円未満の計算単位を銭および厘としている。貨幣の種類についても現状を追認する形で500円、100円、50円、10円、5円、1円の6種類とした。また、国家的な記念事業として閣議の決定を経て発行する貨幣(記念貨幣)は、これらのほかに1万円、5000円、1000円を加えた9種類の発行については、法律を制定することなく政令だけで決めることができるようになった。貨幣の素材、品位、量目、形式についても政令で定めることとしている。さらにコレクション用として、その素材に金などの貴金属を含み、製造に要する費用が額面価格を超える記念貨幣、あるいは特殊技術で表面に光沢をもたせた貨幣を、政府は額面を上回る価格で販売することができることとした。
[原 司郎・北井 修]