日本の諺(読み)にほんのことわざ

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

日本の諺
にほんのことわざ

(あい)より出でて藍より青し
 青色の染料は藍からとるが、原料の藍よりもはるかに濃い青色であるの意。弟子が師より優れていることのたとえ。
【類似の諺】
  出藍(しゅつらん)の誉
  氷は水より出(い)でて水より寒し
秋茄子(なす)嫁に食わすな
 秋口の茄子は味がよいので、姑(しゅうとめ)が憎い嫁には食べさせないの意とされるが、秋茄子は灰汁(あく)が強いので、かわいい嫁の身を案じて食わせないことのたとえともいう。
【類似の諺】
  嫁姑の仲よきはもっけの不思議
悪事千里を走る
 悪い行いや評判は瞬(またた)くうちに一千里の遠くまでも知れ渡ってしまうとの意。悪い評判のたちやすいことのたとえ。
【反対の諺】
  好事門を出(い)でず
悪事身にとまる
 犯した悪事は、結局は自分のところに返ってきて、自分自身が苦しむことになるとのたとえ。
【類似の諺】
  因果は車の輪のごとし
  人を呪(のろ)えば穴二つ
  身から出た錆(さび)
悪に強ければ善にも強し
 強悪非道な大悪人がいったん改心すると、かえって及ぶ人もないほどの善人となるとの意。一念を込めて物事を行えばできないことのないことのたとえ。
【類似の諺】
  善に強い者は悪にも強い
  念力岩を徹(とお)
悪は延べよ
 悪いと思うことや考えはすぐに行わず、いったん延期するのがよいの意。悪い分別は一時の気の迷いであるから、時間がたてば事情や考えが変わり、実行しないで済む場合も多いとのたとえ。「善は急げ」と対で用いる。
【反対の諺】
  善は急げ
麻に連(つ)るる蓬(よもぎ)
 麻のようにまっすぐに育つもののなかに生えれば、蓬のように曲がりやすいものも、まっすぐに育つとの意。善良な人々のなかにいれば、おのずからよい人間となることのたとえで、教育よりも環境の重要さを説く。
【類似の諺】
  善悪は友による
  水は方円の器に従う
足下から鳥が立つ
 思いがけない手近な所で、意外なできごとが生じるとの意。にわかなできごとにまごつき、あわてることのたとえ。
【類似の諺】
  寝耳に水
(あだ)を恩にして報ずる
 恨みのある人に、かえって情けをかけるとの意。真反対のことをいったもので、矛盾することやありえないことのたとえでもある。
【類似の諺】
  恩を仇で返す
  余り寒さに風を入る
後の祭
 祭の済んでしまった翌日との意。時期を失したり手遅れとなったことのたとえ。
【類似の諺】
  仏もなき堂へ参る
  六日の菖蒲(あやめ)十日の菊
油に水
 油に水を溶かしても、互いにはじき合って混じり合わないとの意。不つり合いに異質な物はどんなにしてみたところで、しっくりと融和しないことのたとえ。
【類似の諺】
  水に油
  木に竹を接ぐ
網の目に風とまる
 風を防ぐために網を張っても、風はその目を通り抜けてしまって、きわめてまれにしか役にたたないとの意。ありえないこと、まれにしかありえないことのたとえであるが、何事をするにも、相手をよく選ぶことがたいせつであるとのたとえにも使われる。
【類似の諺】
  上げ舟に物を問え
雨降りて地固まる
 雨が降るのはうっとうしくて嫌なものであるが、そのために、あとで地面が固まり、よい結果を生み出すこともあるとの意。いざこざや争いのあとで、かえって物事がうまく落ち着き丸く治まることのたとえ。
【類似の諺】
  思いを包むは罪深し
合わせ物は離れ物
 もともと別な物を合わせてつくった物は、いずれ離れるときがくるものであるとの意で、夫婦別れなどにいう。転じて、人間の身体が地、水、火、風の四大よりなると考えられていたので、人間はいつか死んで元の四大に帰ることのたとえ。
【類似の諺】
  会うは別れの始め
  揺るぐ杭(くい)は抜ける
合わぬ蓋あれば合う蓋あり
 この世の中のことはだれにでもよいというわけにはいかないが、かといって、だれにも都合が悪いといったものでもない。ある人によければ、ある人にはぐあいが悪いといったように、それぞれに使い道があることのたとえ。
【類似の諺】
  捨てる神あれば助ける神あり
  人を見て法を説け
言い勝ち功名
 ことばの多い者が勝つという意で、黙っていてはよい意見も通らないことのたとえ。
【類似の諺】
  一揆(いっき)の寄合
  船頭多くて船山に上る
家売れば釘(くぎ)の値段
 大金をかけてつくった家も、売ろうとすれば釘の値段ほどの捨て値でなければ売れないとのたとえ。
【類似の諺】
  麒麟(きりん)も老いぬれば駑馬(どば)に劣る
  昔の太刀(たち)は今の菜刀(ながたな)
石の上にも三年
 冷たい石であっても、その上に三年も座り続けていたら暖まるとの意。たとえつらいことであってもがまん強くがんばれば、やがては報われることがあるとのたとえ、転じて、根気のよいこと。
【類似の諺】
  火の中にも三年
【反対の諺】
  石に腰掛ける
石の物言う
 石のように物などいいそうにないものですら告げ口をするとの意で、この世での秘密が漏れやすいことのたとえ。また、為政者の失政を民衆が恨むときには、物いわぬ石までがそれをなじって物をいうとのたとえ。
【類似の諺】
  垣に目口
  壁に耳
痛い上の針
 痛いところにさらに針を刺すとの意で、悪いことや災難が重なりやすいことのたとえ。
【類似の諺】
  盗人に追い銭
  痩(や)せ子に蓮根(はすね)
一樹の陰一河の流れ
 見知らぬ者同士が雨を避けて同じ木の陰に宿り、同じ川の流れの水をくんで飲むのも、前世からの浅からぬ因縁によるとの意。どのようなきっかけで生まれようとも、人間同士の関係はあだやおろそかに思ってはならないとのたとえ。
【類似の諺】
  袖(そで)すり合うも他生の縁
  一村雨(ひとむらさめ)の雨宿り
一も取らず二も取らず
 二つのものを同時に取ろうとすると、結局はどちらも取ることができないとの意で、欲張りすぎてはいけないことのたとえ。
【類似の諺】
  奪い合う者は中から取る
  虻蜂(あぶはち)取らず
一寸先は闇(やみ)
 行く道の一寸前は真っ暗闇で、何があるか知れたものではないとの意で、未来のことはまったく予測できないことのたとえ。
【類似の諺】
  三日先知れば長者
一寸の虫にも五分の魂
 わずか一寸の大きさの虫にも、身体の半分という不つり合いに大きな魂が備わっているとの意。どんなに小さく、弱いものでも、それに相当の根性や知恵をもっているので侮ってはならないとのたとえ。
【類似の諺】
  あなずる葛(かずら)に倒さる
  小糠(こぬか)にも根性
  山椒(さんしょう)は小粒でもぴりりと辛い
一匹狂えば千匹の馬も狂う
 一匹の馬が狂ったような行動をとると、ともにいるほかの千匹の馬も同じような行動に駆り立てられてしまうとの意。人間が群集心理によって付和雷同しやすいことのたとえ。
【類似の諺】
  鴨(かも)の共立ち
炒豆(いりまめ)に花が咲く
 炒(い)った豆に花が咲く意。いったん衰えたものがふたたび栄えることや、ありそうにもないことがたまたま実現することのたとえ。
【類似の諺】
  盲亀(もうき)の浮木(ふぼく)
  優曇華(うどんげ)の花待ち得たる心地
(いわし)の頭も信心から
 鰯の頭のようにつまらないものでも、それを信仰する人にとっては、神や仏と同様に尊く、霊験あらたかなものとなるとの意。信仰心が不思議な力を発揮することのたとえで、転じて、頑固に信じ込み、それに凝り固まっている人をからかっていう。
【類似の諺】
  竹箒(たけぼうき)も五百羅漢
言わぬは言うにまさる
 沈黙を守っていたほうが、ことば多く雄弁に物語るよりも、相手によりよく気持ちを伝えることができるとの意。口数の多いのは品位に欠けるとのたとえ。
【類似の諺】
  言葉多き者は品少なし
飢えに臨みて苗を植うるが如し
 飢餓状態になって、ようやく稲の苗を植えるようなものだとの意。時期を失してしまって、その場の役にたたないことのたとえ。
【類似の諺】
  渇して井を穿(うが)
  日暮れて道遠し
牛は牛連れ馬は馬連れ
 牛は牛同士、馬は馬同士、いっしょにいるのがよいとの意。似た者同士や仲間が自然と集まったり、分相応の連中がいっしょになって行くと、万事物事がうまく運ぶことのたとえ。
【類似の諺】
  類は友を呼ぶ
  破(わ)れ鍋(なべ)に綴(と)じ蓋
(う)の目鷹(たか)の目
 鵜や鷹が獲物を探すときのような鋭い目つきの意。熱心に物を探し出そうとするときの鋭い目つきやすばやい態度のたとえ。
【類似の諺】
  天狗(てんぐ)の矢取り
馬に乗るまでは牛に乗れ
 速く走る馬に乗る前に、のろい牛に乗って速さに慣れておく必要があるとの意で、出世をして偉くなるにも段階があることのたとえ。また、馬に乗れるようになるまでは、がまんして牛に乗ってでも前に進めとの意で、次善の策であってもやらないよりはましだとのたとえという。
【類似の諺】
  仏になるも沙弥(しゃみ)を経る
馬には乗ってみよ人には添うてみよ
 馬の良し悪(あ)しは乗ってみなければわからず、人柄の良い悪いもいっしょに暮らしてみなければわからないとの意。どんなことでも、自分で経験して確かめなくてはいけないとのたとえ。
馬の耳に念仏
 馬にありがたい念仏を聞かせても、そのありがたみは理解できないとの意。どんな忠告や教えも聞き流すだけで、さっぱり効き目のないことのたとえ。
【類似の諺】
  犬に論語
  牛の前に調ぶる琴
売り物には花を飾れ
 売る品物は花を飾って美しく見せよとの意。商品は体裁よく見せて、買い手の購買意欲をかき立てるのが商売のこつであるとのたとえ。
【類似の諺】
  売り物に紅させ
  三宝も持て成し柄(がら)
笑みの中の刀
 笑顔でいながら、実は敵意に満ち満ちていて、刀を隠し持っているとの意。うわべでは笑い顔をつくりながら、内心は陰険で相手を害さんものとしていることのたとえ。
【類似の諺】
  口に蜜(みつ)あり腹に剣あり
  綿に針を包む心
老木(おいき)にも花咲く
 花の咲かなくなった老木に、ふたたび花が咲くようになったとの意。一度衰えたものが再起して栄えることのたとえ。
【類似の諺】
  枯れ木に花
  百になる姥(うば)も斯(こ)うでは果てじ
老いては子に従え
 女は、年老いてのちは、何事も子供に任せ、それに従うのがよいとのたとえ。三従(さんじゅう)の教えの一つで、「若い時は親に従い、盛りにしては夫に従い」に続く。
【類似の諺】
  三従
負うた子に教えられて浅瀬を渡る
 背中に負ったがんぜない子供に、川の浅い所を教えられて渡るとの意。熟練者や賢人であっても、ときには未熟者や愚鈍な者に教えられることもあるのだというたとえ。
【類似の諺】
  老いて再び稚児になる
(おおかみ)に衣
 狼が僧の着る法衣を着たようだとの意で、凶悪非道な悪人が慈悲深そうな態度を装うことのたとえ。転じて、不つり合いなところから、衣服が身体にあわず、ぶかっこうなありさまをいう。
【類似の諺】
  鬼の空念仏
  真綿で首を締める
傍目(おかめ)八目
 囲碁を観戦していると、手の良し悪(あ)しがよくわかって、八目先の石の置き方までが見通せるとの意。直接物事に携わらない第三者の立場でみていると、ずいぶん先の局面までをもよく見通すことができるとのたとえ。
【類似の諺】
  他人の正目(まさめ)
【反対の諺】
  鹿(しか)を逐(お)う猟師山を見ず
伯父(おじ)が甥(おい)の草を刈る
 目上の伯父が目下の甥のために働くとの意で、不自然なことや、ものの順序が逆になっていることのたとえ。
【類似の諺】
  寺から里
【反対の諺】
  山から里
夫の心と川の瀬は一夜に変わる
 夫が妻を愛する心は、川の流れの急な所が大雨などによって一晩で変わってしまうように、急変するとの意。夫の愛情の変わりやすいことのたとえ。
【類似の諺】
  男心と秋の空
同じ穴の狐(きつね)
 一見別のもののようにみえても、実は一つ穴に住む狐であるとの意で、同類、それも多くは悪党などを例えていう。
鬼に金棒
 ただでさえ強い鬼に強力な武器である金棒を持たせるとの意。敵するもののない強さのたとえ、また、よい条件のうえにさらによい条件が加わることのたとえ。
【類似の諺】
  噛(か)む馬に鞭(むち)
  弁慶に薙刀(なぎなた)
鬼の目にも涙
 無慈悲な鬼でさえ、ときには憐れみの心から涙を流すこともあるとの意。冷酷無残な者も、ときとして人の優しい情けを感じて慈悲心をおこすこともあるとのたとえ。
【類似の諺】
  人喰(く)らい馬にも合い口
鬼も十八番茶も出花
 鬼のように醜い娘でも年ごろとなれば、品質の劣る番茶でもいれたてはおいしいように、それなりに美しく、優しくなるものだとの意。世間のことを知り始めた年ごろの娘の姿態の、なんとなくなまめかしく、風情のあるようすのたとえ。
【類似の諺】
  屁糞葛(へくそかずら)も花盛り
思い内にあれば色外に現る
 心中に思っていることがあると、自然に態度やことばとなって現れ、人の知るところとなるというたとえ。
【類似の諺】
  思うことは寝言に言う
親の心子知らず
 わが子を思う深い親の心も知らないで、子供はかって気ままなことをするものだというたとえ。
親は一世師は三世
 親子の関係はこの世限りのものであるが、師弟の関係は過去、現世、来世の三世にもわたるとの意。師弟の間柄を親子のそれよりも重視したもので、師の恩をたいせつにしなければならないとのたとえ。
【類似の諺】
  夫婦は二世
飼い犬に手を噛まれる
 常日ごろ目をかけているため、恩を感じているはずの部下や人に、裏切られたり、害を被ったりすることのたとえ。
【類似の諺】
  飼い養(か)う虫に手を食わる
  頼む木の下に雨漏る
  孫飼わんより犬の子飼え
顔に似ぬ心
 容貌(ようぼう)と心とはかならずしも一致しないとの意。顔は美しくても心が鬼のように恐ろしい人もいれば、醜く怖い顔でも心は清く優しい人もいるとのたとえ。
【類似の諺】
  外面如菩薩(げめんにょぼさつ)内心如夜叉(にょやしゃ)
(かぎ)の穴から天を覗(のぞ)
 鍵の穴のように小さなところから、天のように広大なものを覗き見るとの意。狭い了見や見識で、不つり合いに大きな事柄をあれこれと推し測ることのたとえ。
【類似の諺】
  大海を手で塞(ふさ)
  針の穴から天井覗く
餓鬼(がき)も人数
 飢えと渇きに苦しむ亡者のようなつまらぬ者でも、数のうちであるとの意。取るに足らない者でも、ときには多少の役にたつとのたとえ。転じて、ひとりひとりは非力でも、大ぜい集まれば侮りがたいものとなることのたとえ。
【類似の諺】
  枯れ木も山の賑(にぎ)わい
稼ぐに追い付く貧乏なし
 一生懸命に働けば、豊かになって貧乏することはないとのたとえ。
【反対の諺】
  油断大敵
形は生めども心は生まず
 親子は顔かたちは似ていても、性質とか人柄は別であるとの意。子供の賢愚や善悪は親のそれによって決まるものではないとのたとえ。
勝って兜(かぶと)の緒を締めよ
 戦いに勝っても兜の緒を緩めるような油断をしてはならないとの意。成功したあとも、それまでのように、用心深く事にあたらなければならないとのたとえ。
【類似の諺】
  焼鳥に攣(へお)(攣は鷹(たか)の足につける紐(ひも)
果報は寝て待て
 幸福(果報)は運しだいであるから、やってくるのを気長に待つべきだとの意。焦らないで時期を待てば、幸運はかならずやってくることのたとえ。
【類似の諺】
  天道人を殺さず
  待てば甘露の日和(ひより)あり
川立ちは川で果てる
 川の辺で育った泳ぎのうまい者(川立ち)は、油断して川で死ぬことが多いとの意。得意な技や芸をもつ者が、それによって身を滅ぼすことの多いたとえ。
【類似の諺】
  河童(かっぱ)の川流れ
  山立ちは山で果てる
木に竹を接ぐ
 木と竹のようにまったく性質の異なる物を継ぎ合わせるとの意。前後のつじつまがあわないことや、不つり合いなことのたとえ。
【類似の諺】
  油に水
  竹に接木(つぎき)
機に因(よ)りて法を説け
 仏教の真理を説くのにも、聞く者の素質や能力に応じた適切な方法をとらなければならないとの意。臨機応変の処置をとらなければならないとのたとえ。
【類似の諺】
  合わぬ蓋(ふた)あれば合う蓋あり
  捨てる神あれば助ける神あり
  人を見て法を説け
昨日は今日の昔
 たった一日前の昨日のことでさえも、すでに過去のできごとであるとの意。月日の過ぎ去るのが早いことのたとえ。
【類似の諺】
  今日は人の上明日は我が身の上
京にも田舎あり
 にぎやかな京の都にも辺鄙(へんぴ)な所があるとの意。よい所にもどこか悪い所があるとのたとえ。
【類似の諺】
  都にも田舎(いなか)
【反対の諺】
  田舎に京あり
麒麟(きりん)も老いぬれば駑馬(どば)に劣る
 一日に千里を走る麒麟(名馬)も年老いれば駑馬(遅い馬)に及ばないとの意。いかに優れた人物でも、老人になれば、その能力や働きが凡人なみになってしまうとのたとえ。
【類似の諺】
  昔千里も今一里
  昔の太刀(たち)は今の菜刀(ながたな)
【反対の諺】
  腐っても鯛(たい)
腐っても鯛(たい)
 鯛のように高価な魚は、腐ったものでさえ値うちがあるとの意。もともと価値のあるものは、傷んでだめになったようでも、それだけの値うちがあるとのたとえ。
【類似の諺】
  ちぎれても錦(にしき)
  破れても小袖(こそで)
【反対の諺】
  麒麟(きりん)も老いぬれば駑馬(どば)に劣る
光陰矢の如し
 月日の過ぎ行くのは、飛ぶ矢のように早いとの意で、日のたつのがいかに早いかのたとえ。
【類似の諺】
  隙(ひま)行く駒(こま)
  嫁が姑(しゅうとめ)になる
好事門を出でず
 善行やよい評判は人の口にのることが少ないとの意。よいことは世間に広まりにくいとの例えで、「悪事千里」と対で用いられることが多い。
【反対の諺】
  悪事千里
郷に入っては郷に従う
 住んでいる場所の風俗や習慣には、逆らわずに従うのがよいとのたとえ。
【類似の諺】
  門に入らば笠(かさ)を脱げ
志は木の葉に包め
 木の葉に包むほどのわずかな贈り物でも、真心がこもっていればりっぱなものであるとの意。
【類似の諺】
  長者の万灯より貧女の一灯
言葉多き者は品少なし
 口数の多い人は軽々しくて品位に欠けるとの意。口達者な人は人柄が軽薄であることのたとえ。
【類似の諺】
  言わぬは言うにまさる
子は三界の首枷(くびかせ)
 子供は首枷となって、過去、現世、未来の三世にわたり、親の自由を奪っているとの意。親が子供への愛にひかされて、一生その自由を束縛されていることのたとえ。
【類似の諺】
  思う人は絆(きずな)となる
(さる)も木から落ちる
 木登りの得意な猿でも木から落ちることがあるとの意。その道に優れた人でもときには失敗することがあるとのたとえ。
【類似の諺】
  竜馬(りゅうめ)の躓(つまず)
  弘法(こうぼう)にも筆の誤り
触り三百
 ちょっと触っただけで三百文の損をするとの意。争い事などにちょっと口出しなどして、思いがけぬ損害を被ることのたとえ。
【類似の諺】
  触らぬ神に祟(たた)りなし
  見るに目の欲
山椒(さんしょう)は小粒でもぴりりと辛い
 山椒の実は小さくてもたいへんに辛いとの意。身体は小さくても、気性や才能が非常に鋭いことのたとえ。
【類似の諺】
  あなずる葛(かずら)に倒さる
  一寸の虫にも五分の魂
  針は小さくても呑(の)まれぬ
鹿(しか)を逐(お)う猟師山を見ず
 鹿を追いかけるのに夢中になっている猟師は、山のようすを見極める余裕などはないとの意。物事に熱中したり、欲に目がくらんでいる者は他の事を顧みないので、理性を見失いがちなことのたとえ。
【類似の諺】
  欲には目見えず
【反対の諺】
  傍目八目(おかめはちもく)
師匠の出しおくれ
 師匠が弟子の質問にその場で答えられず、あとでとやかく講釈する意。「支証の出しおくれ」のもじりで、手遅れになり効き目のないことのたとえ。
【類似の諺】
  宝の山に入りながら手を空しくして帰る
舌三寸の誤りより身を果たす
 むだなおしゃべりが原因となって命を失うとの意。口先だけの弁舌や失言によって身を滅ぼすことのたとえ。
【類似の諺】
  蛙(かえる)は口から呑まるる
  口は禍(わざわい)の門
四百四病より貧の苦しみ
 あらゆる病気(四百四病)よりも貧乏がつらいとの意。人生経験のつらい部分を拡大したたとえ。
【類似の諺】
  年問わんより世を問え
  貧は病より苦し
(じゃ)の道は蛇(へび)
 蛇の通る道は蛇がもっともよく知っているとの意。同じ仲間がその社会のことや仲間の行動をもっともよく知っているとのたとえ。
【類似の諺】
  世の取り沙汰(ざた)は人に言わせよ
  餅(もち)は餅屋
(しゅうと)の物で相婿(あいむこ)もてなす
 舅のふるまいに招かれた姉妹の夫同士(相婿)が、供された料理で互いにもてなしたり、義理を果たすとの意。身銭を切らぬ虫のいいふるまいのたとえ。
【類似の諺】
  逃ぐる魚を恵比寿(えびす)に参らする
十人寄れば十国の者
 人が大ぜい集まると、いろいろな国の出身者がいるものだとの意。世間は広いので、大ぜい集まっても生国が同じ人は少なく、人はさまざまであるとのたとえ。
【類似の諺】
  三人寄れば人中(ひとなか)
  十人十色(といろ)
十分はこぼるる
 物事は十分に満ちると、あとはこぼれるだけだとの意で、すべて物事はほどほどがよいとのたとえ。
【類似の諺】
  月満つれば虧(か)
  満は損を招く
朱に交われば赤くなる
 顔料の朱の中に入れた物は、その色に染まって赤くなるとの意。人は環境や交遊関係によって、善人にも悪人にもなるとのたとえ。
【類似の諺】
  墨に近づけば黒し
  善悪は友による
小利大損
 少しの利益を得ようとして、大きな利益を失うとの意。目先のわずかな利益にこだわると、利益をあげることができないばかりか、かえって大損をしてしまうとのたとえ。
【類似の諺】
  角(つの)を矯(た)めて牛を殺す
【反対の諺】
  大事の前の小事
知らぬが仏
 本当のことを知らないからこそ、仏のような広い心で安穏でいられるとの意。真実を知れば腹もたち、平静ではいられぬが、知らなければそのまま平気でいられるとのたとえ。転じて、当人だけが知らないで平気でいるのを、あざけり半分にいう場合にも用いられる。
【類似の諺】
  見ぬが心にくし
  見ぬが仏聞かぬが花
知りて知らざれ
 よく知っていても知らないふりをしろとの意。知っていてもそれをひけらかさず、控え目にするのが奥ゆかしいとのたとえ。
【類似の諺】
  大名は大耳
親は泣き寄り他人は食い寄り
 不幸があった際、肉親や親類縁者は心から悲しんで集まってくるが、他人はといえば、そこで供される食べ物目あてにやってくるとの意。逆境の失意のときこそ、身内は頼りがいのある存在であるが、他人の同情は見せかけだけで、あてにはならないとのたとえ。
【類似の諺】
  世は元偲(しの)
(すずめ)の千声鶴(つる)の一声
 千羽の雀が一斉に鳴いても鶴の一声に及ばないとの意。つまらぬ者たちががやがやいうより、優れた人物が一言いえば、物事はぴたりと収まるとのたとえ。
【類似の諺】
  大は小を兼ねる
雀百まで踊りは忘れぬ
 雀は死ぬまで飛び跳ねる癖が抜けないとの意。若いときに身についてしまった習性、なかでも道楽は、いくつになっても直らないとのたとえ。
【類似の諺】
  犬の尾を食うて回る
  三つ子の魂百まで
捨てる神あれば助ける神あり
 この世はさまざまだから、見捨てて相手にしてくれない人もいれば、反対に拾い上げて援助してくれる人もいるとの意。非難されたり、つまはじきされても、くよくよすることはないとのたとえ。
【類似の諺】
  合わぬ蓋(ふた)あれば合う蓋あり
  機に因(よ)って法を説く
  渡る世間に鬼はない
世間は張り物
 この世をうまく渡っていくには、外見をりっぱにして体裁を繕う(張り物)のがよいとの意。見栄(みえ)を張るのも処世術の一つであるとのたとえ。
【類似の諺】
  内裸でも外錦(にしき)
  月夜に提灯(ちょうちん)も外聞
背に腹はかえられぬ
 同じ身体の一部とはいえ、たいせつな腹を背といっしょにして、取り替えるようなことはできないとの意。大事を守るためには小事を犠牲にするのもやむをえないとのたとえ。
栴檀(せんだん)は双葉より芳し
 香気の強い栴檀は芽生えのときから香りが高いとの意。大成する人物は、子供のときから並はずれて優れたところがあるとのたとえ。
【類似の諺】
  蛇(じゃ)は一寸より大概を知る
船頭多くて船山に上(のぼ)
 船を指揮する船頭が何人もいると、水上を行くべき船が、いつのまにか山の上を行くようなことになるとのたとえ。
【類似の諺】
  言い勝ち功名
  一揆(いっき)の寄合
船頭の空急ぎ
 船頭が、船を出すといって客を急がせながら、その実、なかなか船を出さないことをいう。
【類似の諺】
  言い勝ち功名
千日に刈った萱(かや)一日に亡ぼす
 千日もかけて刈った萱を、たった一日で焼き失うとの意。長年月をかけて営々と築き上げた成果を、一時に失ってしまうことのたとえ。
【類似の諺】
  炮烙(ほうろく)千に槌(つち)一つ
  千日の功名一夜に亡ぶ
善は急げ
 善い事をするのにためらうなとの意。善いことはただちに行えとのたとえ。
【類似の諺】
  旨(うま)い物は宵に食え
【反対の諺】
  悪は延べよ
千里一跳ね
 大きな鳥は一気に千里の空を飛ぶとの意で、遠い道程を短時間に行くことや、物事をつかのまに成し遂げること、たちまちのうちに大成功することのたとえ。
【類似の諺】
  一夜検校(けんぎょう)
(そで)すり合うも他生の縁
 道行く途中で、見知らぬ人と袖が触れ合うというようなことも、宿世(他生)の因縁であるとの意。どんな小事、取るに足らぬ人づきあいといえども、この世においては偶然におこるものではなく、すべて前世からの深い因縁によるとのたとえ。
【類似の諺】
  一樹の陰一河の流れ
  躓(つまず)く石も縁の端
  一村雨(ひとむらさめ)の雨宿り
大海の一滴
 大きな海に一滴の水を落とすとの意で、広大な所にきわめて微小な物のあることや、ごくわずかなことのたとえ。
【類似の諺】
  九牛の一毛
  滄海(そうかい)の一粟(いちぞく)
大事の前の小事
 大きなことをするには、取るに足らない小さなことにも慎重でなくてはならないとの意で、油断から失敗を招きやすいことのたとえ。また、大事を成し遂げるには、小事などにはかまっていられないとの意で、事を行うには小事を犠牲にしなくてはならないとのたとえ。
【類似の諺】
  大行(たいこう)は細謹(さいきん)を顧みず
【反対の諺】
  小利大損
  角(つの)を矯(た)めて牛を殺す
大の虫を生かして小の虫を殺す
 大きい虫を生かすためには、小さな虫を殺さなくてはならないとの意。やむをえない場合には、一部分を犠牲にしても全体を救い、あまり必要でない物は捨てて重要な物をとれとのたとえ。
【類似の諺】
  葉をかいて根を断つな
(たか)は死すとも穂はつまず
 鷹は肉食であるから、たとえ飢え死にしようとも、けっして稲や麦などの穂はついばまないとの意。正義を守る人はどんなに貧しく、窮しようとも、節を曲げて不義の財宝を受け取ることはないとのたとえ。
【類似の諺】
  侍と黄金は埋めど朽ちぬ
  人は一代名は末代
  武士は食わねど高楊枝(たかようじ)
多勢に無勢(ぶぜい)
 少人数では、しょせん、大人数に敵対できないとの意。小さな力では、どんなにがんばってみたところで、大きな力にはかなわないとのたとえ。
【類似の諺】
  雉(きじ)と鷹(たか)
  衆寡敵せず
立つ鳥跡を濁さず
 鳥が飛び去ったあとの水辺は、濁ることなく澄んだままであるとの意。立ち去る者は跡をよく始末して、見苦しくないようにしておかなければならないこと、また、引き際が潔くりっぱなことのたとえ。
(たで)食う虫
 蓼のように辛い草を好んで食べる物好きな虫もいるとの意。少々悪趣味だとの意味を込めて物好きな者を例えるが、人の嗜好(しこう)はさまざまで、皆が皆同じ好き嫌いであるとは限らないというたとえでもある。
【類似の諺】
  好きに赤烏帽子(えぼし)
  面々の楊貴妃(ようきひ)
旅は道連れ世は情け
 ひとり旅よりは、たとえ道連れであっても、いっしょのほうがよいし、世間を渡るのには、人々が互いに助け合っていくのがよいとの意。世の中は、皆が思いやりの心をもって仲よく過ごしていくことがたいせつだとのたとえ。
【類似の諺】
  遠き親子より近き隣
  旅は情け人は心
玉磨かざれば光なし
 美しい玉も原石のままでは光りもしなければ、形も珍重するに足りないとの意。どのように優れた才能や素質をもっていても、学問などに励んで修錬を積まなければ、その真価を発揮して、りっぱな人となることはできないとのたとえ。
【類似の諺】
  瓦(かわら)も磨けば玉となる
知恵無い神に知恵付ける
 純情無垢(むく)な者に余計な悪知恵をつけるとの意。気づいていない者にわざわざ入れ知恵をして、物事をいたずらにもつれさせることのたとえ。
【類似の諺】
  寝る子を起こす
提灯(ちょうちん)に釣り鐘
 提灯と釣り鐘とは形は似ているが、その重さはまったく比べものにならないとの意。身分や財産などのつり合いがとれないことや、比較にならないことのたとえ。
【類似の諺】
  箸(はし)に虹梁(こうりょう)
長範(ちょうはん)があて飲み
 人の金をあてにしたり、ただ酒を飲もうとして失敗することのたとえ。平安末期の伝説的な大泥棒熊坂長範が、美濃(みの)国の赤坂に金売り吉次を襲い、奪い取る予定の金をあてにして、一味ともども青野が原で大酒盛りをしたが、その夜半、牛若丸に退治されてしまった、と舞の本『烏帽子折(えぼしおり)』が伝えるところによる。
【類似の諺】
  捕らぬ狸(たぬき)の皮算用
(ちり)も積もりて山となる
 塵のように微小な物でも、積もりに積もれば山のようにうず高くなるとの意。きわめてわずかな物でも、積もり積もって高大な物となることのたとえ。
【類似の諺】
  砂(いさご)長じて巌(いわお)となる
(つの)を矯(た)めて牛を殺す
 牛の角の曲がっているのを直そうとして、ついには牛を殺してしまうとの意。わずかな欠点を直そうとして、全体をだいなしにしてしまうことのたとえ。
【類似の諺】
  枝を矯めて花を散らす
爪に火点(とも)
 蝋燭(ろうそく)や油のかわりとして、爪に火をとぼすとの意で、ひどいけちや、貧しくてつましい生活を送ることのたとえ。
【類似の諺】
  芥子(けし)を千に割る
泥中の蓮(はす)
 汚い泥の中に咲いても、蓮の花は清らかで美しいとの意。環境の悪さにもめげず、高潔さを保ち続けるもののたとえ。
【類似の諺】
  市(いち)の中の隠者
天知る地知る我知る人知る
 だれも知らないだろうと思っても、天地の神々をはじめとして、自分も知っていれば、お前も知っているとの意。不正なことはかならず現れるものだとのたとえ。
【類似の諺】
  神は見通し
  錐(きり)(ふくろ)を通す
闘雀(とうじゃく)人を恐れず
 雀(すずめ)のように臆病(おくびょう)で弱い小鳥でも、喧嘩(けんか)に夢中のときは大胆で、人が近づいても恐れず、逃げることはないとの意。夢中になっている者が思いがけない強さやしたたかさを発揮することのたとえ。
【類似の諺】
  窮鼠(きゅうそ)猫を噛(か)
  痩(や)せ馬鞭(むち)を驚かず
灯台下暗し
 明かり取りの灯明台の真下は暗いとの意で、身近な事情に疎いことや、手近なことがかえってわかりにくいことのたとえ。
【類似の諺】
  遠目ばかりの箒木(ははきぎ)
  秘事は睫(まつげ)の如(ごと)
問うに落ちず語るに落ちる
 秘密事は、他人に問いただされると用心して話さないが、自分から話すときはうっかりしゃべってしまうとの意。事実を隠しおおすことのむずかしさのたとえ。
【類似の諺】
  心内に動けば詞(ことば)外に現る
蟷螂(とうろう)が斧(おの)を以て隆車に向かう
 蟷螂(かまきり)が前足を斧のごとくに振り上げて、高く大きな車(隆車)に立ち向かうとの意。自分の力を顧みずに、弱い者が強い者に刃向かう無謀さ、身の程知らずのたとえ。
【類似の諺】
  猿猴(えんこう)月を取る
  泥鰌(どじょう)の地団駄(じだんだ)
  猫の額の物を鼠(ねずみ)の伺う
遠きは花の香
 遠くにあるものは、花の香りの芳しいように、実際以上によく思われるものだとの意。「近くは糞(くそ)の香」と対で使われ、手近なものは軽く疎んじ、手の届かぬものはむやみとありがたがるとのたとえ。
時に遇えば鼠(ねずみ)も虎(とら)になる
 よい時節に巡り合えば、鼠でも虎のように威勢を振るうことができるとの意。高い地位につけば、つまらぬ人物でも権勢を振るうようになるとのたとえ。
毒を食わば皿まで
 毒を食って死ぬと決まったものなら、いっそのことそれを盛った皿もきれいになめてやれとの意。いったん悪事に手を染めた以上、あくまでも手を引かずやり通すとのたとえであるが、ここまでやったからには、最後まで徹底的にやり抜くとのたとえにも用いる。
【類似の諺】
  とても濡(ぬ)れたる袖(そで)
(とび)が鷹(たか)を生む
 鳶のような平凡な親が、鷹のような非凡な子供を生むとの意。子が親より優れていたり、美しかったりするときのたとえ。
【類似の諺】
  烏(からす)の白糞(しろくそ)
  筍(たけのこ)の親まさり
(とら)の尾を踏む
 凶暴な虎の尾を踏むとの意。その結果、虎が荒れ狂って手のつけられないところから、非常な危険を冒すことのたとえ。
【類似の諺】
  竜の髭(ひげ)を撫(な)ずる
鳥なき里の蝙蝠(こうもり)
 鳥のいない所では、蝙蝠もいっぱし鳥気どりでいばっているとの意。優れた人のいない所では、つまらない者が幅をきかせていばっているとのたとえ。
【類似の諺】
  竈(かまど)将軍
  我が門にて吠(ほ)えぬ犬なし
泥棒を捕らえて縄を綯(な)
 泥棒を捕まえてから、それを縛るための縄をようやく綯い始めるとの意。事が起こってから、あわててそのための準備にかかることのたとえ。
【類似の諺】
  戦見て矢を矧(は)
(なお)き木に曲がれる枝
 まっすぐな木にも曲がった枝がついているものだとの意。清廉潔白な親の子供にも邪悪不正な者が出ることがあるとのたとえ。また、どんなに正しい人でも欠点や泣き所があるとのたとえ。
【類似の諺】
  玉に瑕(きず)
長い物には巻かれろ
 権力や権勢のある者にはおとなしく従っていろとの意。力が強大で威勢のある者には勝てっこないのだから、逆らわずにいるほうが得策だとのたとえ。
【類似の諺】
  太きには呑(の)まれよ
泣く子も目を開く
 だだをこねて泣いている子供も、ときどきは目を開けて相手のようすや状況を確かめているとの意。相手のようすや時と場合をわきまえて行動するものだとのたとえ。
【類似の諺】
  色を見て灰汁(あく)をさせ
仲人(なこうど)の空言
 仲人は話をまとめようとして、相手の長所ばかりを並べ立て、欠点を押し隠すから嘘(うそ)が多いとの意。仲人口のあてにならないこと、転じて、推察するばかりで実行しないでいては、本当のところはわからないとのたとえ。
【類似の諺】
  推より行(ぎょう)
  仲人の七嘘(ななうそ)
習うより慣れよ
 物事はわざわざ学ぶよりも、自然と慣れ親しむほうが習得しやすいとの意。練習の繰り返しが、むずかしいことの達成にはもっとも効果があるとのたとえ。
【類似の諺】
  手功(てこう)より目功(めこう)
  見るを見真似(みまね)
憎まれ子世にはばかる
 人から憎み嫌われるような子供が、この世をうまく渡って出世するものだとの意。その存在がはっきりしないような子供よりは、わんぱくで人に憎まれるような子供のほうが将来性があるとのたとえ。
【類似の諺】
  呪(のろ)うに死なず
抜かぬ太刀の高名
 太刀を抜いて戦ったわけでもないのに、戦果をあげたと同様の称賛を受けるとの意。腕力などを振るって争うより、じっとこらえるほうがりっぱだとのたとえ。また口先ばかりで、その実力をいっこうに発揮しない人のたとえ。
【類似の諺】
  思案の案の字が百貫する
盗人猛々(たけだけ)
 盗みをとがめられても、ずうずうしく知らん顔をしているとの意。悪事を働きながら平然としていること、また悪事をとがめられて逆に食ってかかることのたとえ。
盗人に追い銭
 盗みを働いた当の相手に、さらに銭を与えるとの意。損をしたうえにまた損を重ねることのたとえ。
【類似の諺】
  痛い上の針
  痩(や)せ子に蓮根(はすね)
盗人の隙はあれども守り手の隙は無い
 盗人は機会をうかがって盗みに入るのだから、時間的な余裕があるが、番人は盗人がいつくるのかわからないのだから、油断がならないとの意。盗むのはたやすいが、盗まれないようにするのはむずかしく、盗人を防ぐ手段はないとのたとえ。
【類似の諺】
  騙(だま)すに手なし
盗人(ぬすっと)の昼寝も当てがある
 無意味にみえる昼寝も、盗人にとっては夜の行動の備えであるとの意。どんな行為や行動にもそれなりの理由があり、思惑があるとのたとえ。
【類似の諺】
  夜打つ礫(つぶて)
念力岩を徹(とお)
 一念を込めて行えば、硬い岩にも穴を開けることができるとの意。一心に思って事にあたればどんなことでもできるとのたとえ。
【類似の諺】
  悪に強ければ善にも強し
乗り掛かった船
 いったん岸を離れた大船から下船することはできないとの意。一度やり始めたことや関係したことは、事情のいかんにかかわらず、中止したり、身を引くことはできないとのたとえ。
【類似の諺】
  渡り掛けた橋
薄氷を履(ふ)
 薄くていまにも割れそうな氷を踏むとの意で、非常に危険なことのたとえ。
【類似の諺】
  川の端に子を置くが如(ごと)
  虎(とら)の尾を踏む
(はも)も一期海老(えび)も一期
 鱧と海老は同じ海の魚でも姿かたちが異なるが、一生を過ごす点ではかわりはないとの意。人間の一生は境遇や性格などの違いはあっても、だいたいは同じであるとのたとえ。
【類似の諺】
  長者二代なし
  蛇も一生なめくじも一生
針を棒に取りなす
 針を棒だと言い張るとの意で、小さな事を取り上げ、わざわざ誇張していったり、大げさに扱ったりすることのたとえ。
【類似の諺】
  大鋸屑(おがくず)も言えば言う
  針小棒大
低き所に水溜(た)まる
 水は低い所に流れ込んで、そこに溜まるとの意。条件の整ったところにその結果が集中することをいい、利益のあがるところに人が集まったり、悪人のもとに悪人が寄り集まることなどのたとえ。
【類似の諺】
  踏む所が窪(くぼ)
  百川(ひゃくせん)海に朝(ちょう)
日暮れて道遠し
 日が暮れてしまったのに、まだまだ前途は遠いとの意。年をとってしまったのに、計画していた目的がいまだに達せられないことや、期限が迫っているのに、仕事などができあがっていないことのたとえ。
【類似の諺】
  飢えに臨みて苗を植うるが如(ごと)
  渇して井を穿(うが)
  日暮れて道を急ぐ
(ひざ)とも談合
 相談相手がいないとなると、自分の膝を抱えて考え込むが、それはあたかも膝を相談相手としているようだとの意。どんなに頼りない相手であれ、相談すればしただけのことはあるとのたとえ。
【類似の諺】
  三人寄れば文殊(もんじゅ)の知恵
  一人の好士より三人の愚者
  雌鶏(めんどり)勧めて雄鶏(おんどり)時を作る
一浦違えば七浦違う
 一つの漁村の好・不漁が、付近の七つの漁村に影響するとの意。この世の暮らしや風俗は持ちつ持たれつで、一か所だけ別物だということはないとのたとえ。
【類似の諺】
  阿波(あわ)に吹く風は讃岐(さぬき)にも吹く
人の噂(うわさ)も七十五日
 世間の口うるさい噂や評判も七十五日もすれば収まるとの意。人々の好奇心は長続きしないので、しばらくするうちに噂話も忘れ去られるとのたとえ。
【反対の諺】
  御所内裏の事も陰では言う
人の踊るときは踊れ
 皆が踊っているときには、自分もいっしょになって踊れとの意。他人のすることにあえて異を唱えてはならないとのたとえ。
【類似の諺】
  郷に入っては郷に従う
  順の拳(こぶし)に外るな
人の空言は我が空言
 人がいった嘘(うそ)でも、それを受け売りして伝えれば、自分がいったのと同じ結果になるとの意。他人のことばを人前で話すときは、その真贋(しんがん)をよくよく吟味してからのことにせよとのたとえ。
【類似の諺】
  七度探して人を疑え
人のふり見て我がふり直せ
 他人の行為を見て、自分の行いを改めよとの意。他人の行いの善悪を判断し、それを鏡として自分の行為を反省し悪いところを改めよとのたとえ。
【類似の諺】
  我が身をつねって人の痛さを知れ
人は一代名は末代
 人間の身体は死ねばそれまでであるが、名誉とか悪い評判はいつまでもこの世に残るとの意。生に執着することなく、後世に名誉を残すように生きるべきだとのたとえ。
【類似の諺】
  侍と黄金は朽ちても朽ちぬ
  鷹(たか)は死すとも穂はつまず
  骨は朽ちても名は朽ちぬ
人は盗人火は焼亡
 他人を見たら泥棒と思い、火を見たら火事だと思って用心せよとの意。何事も用心しすぎるということはないとのたとえであるが、人災は盗まれるだけで済むが、火災はまるまる焼け失ってしまうので、とくに気をつけなくてはならないとのたとえともみられる。
【類似の諺】
  盗人の取り残しはあれど火の取り残しはなし
一村雨(むらさめ)の雨宿り
 ひとしきり降ってさっと通り過ぎる村雨を避けて、見知らぬ人と雨宿りをともにするのも、深い因縁に結ばれていればこそであるというたとえ。
【類似の諺】
  一樹の陰一河の流れ
  袖(そで)すり合うも他生の縁
瓢箪(ひょうたん)から駒(こま)が出る
 瓢箪の中から駒(馬)が出るとの意で、この世にありえないことをいい、意外なところから思いもよらぬものが出ることや、思いもかけぬことが真実となることのたとえ。
【類似の諺】
  嘘(うそ)から出た実(まこと)
【反対の諺】
  楪子(ちゃつ)より深きことなし
布施(ふせ)無い経に袈裟(けさ)を落とす
 布施の出ないような経を読む僧は、すべて略式にして袈裟もつけないとの意。報酬が少ない仕事に熱心になれないのは、人情の常であるとのたとえ。
【類似の諺】
  仏事供養も布施次第
【反対の諺】
  我が物故に骨を折る
古川に水絶えず
 古くからある川には水の流れの絶えることがないとの意。由緒深い富豪の家には、没落したあとにも、なにかと昔をしのばせるりっぱな物が残っているとのたとえ。
【類似の諺】
  腐っても鯛(たい)
  積善の家には余慶あり
(ふる)きを温(たず)ねて新しきを知る
 過去の事実や先賢の事績などを研究し、そのうえに新しい知見や知識を開拓していくとの意。伝統のうえにたって現実の問題に対処し、将来に備えることのたとえ。
【類似の諺】
  温故知新
下手の大連れ
 力量の乏しい者が大ぜいいっしょになってぞろぞろ歩くとの意。役にたたない者たちでも、衆を頼んで行動すると勢いだけはよいとのたとえ。また、大ぜいすぎて、かえって足手まといになることのたとえ。
下手の長談義
 話下手な者ほど話に長時間かかるとの意。談義(説教)や講釈などで、あまり話が長いと後の話し手に迷惑がかかるところから出た語で、要点があいまいで、いたずらに長いだけの説法や話には皆が迷惑するとのたとえ。
【類似の諺】
  歌物語の歌忘れ
糸瓜(へちま)の皮
 糸瓜の実の外皮の意で、なんの役にもたたない、つまらないもののたとえ。
【類似の諺】
  すっぺの皮
判官贔屓(ほうがんびいき)
 薄幸の源義経(よしつね)に同情し、愛惜すること。弱い者に同情し、味方することのたとえで、度を越すと「贔屓の引き倒し」となる。
【類似の諺】
  曽我(そが)贔屓
  弱き家に強き勾張(こうば)
坊主が憎けりゃ袈裟(けさ)まで憎い
 坊主を憎いと思うと、その身に着ける法衣の袈裟までが憎く思われるとの意。その人を憎むあまりに、その人に関係するすべてのものを憎むことのたとえ。
仏造って魂入れず
 仏像をせっかくつくっても、肝心な魂を入れないとの意。ほとんど完成しながら、もっともたいせつなことが抜け落ちていることのたとえ。
【類似の諺】
  画竜点睛(がりょうてんせい)を欠く
  七日の説法屁(へ)一つ
(ほまれ)あらんより毀(そし)りなかれ
 人から称賛されるよりも、非難されないように努めなければならないとの意。よい評判はともかく、悪い噂(うわさ)のたたないように慎まねばならないとのたとえ。
【類似の諺】
  楽しみあらんより憂えなかれ
(ま)かぬ種は生えぬ
 種を蒔きもしないで芽の出ることを期待しても無理だとの意。原因のないところに結果のないことや、なにもしないでよい報いを期待してもだめだとのたとえ。
【類似の諺】
  信あれば徳あり
  参らすれば賜る
待てば甘露(かんろ)の日和(ひより)あり
 焦らずにじっと待っていれば、そのうちに甘露の降るような日和がくるとの意。甘露は中国の伝説で、王者の仁政に感じて天が降らせるという甘い液をいう。じっくりと落ち着いて待っていれば、そのうちに幸運が巡ってくるとのたとえ。
【類似の諺】
  命あれば蓬莱山(ほうらいさん)にも会う
  水母(くらげ)骨に会う
身から出た錆(さび)
 他からついた錆ではなく、それ自身から生じた錆との意。自分で犯した悪い行為の報いで苦しむことのたとえ。
【類似の諺】
  後悔先に立たず
  自業自得
水清ければ魚住まず
 水があまりに清冽(せいれつ)すぎると、かえって魚は住まないものだとの意。人格があまりに高潔で清廉にすぎたりすると、人々に親しまれることがないとのたとえ。
【類似の諺】
  人至って賢ければ友なし
水に絵を描く
 水面に絵を描くとの意で、すぐに消えてしまって、あとになにも残らないことや、苦労しても得るところのないことのたとえ。
【類似の諺】
  氷に鏤(ちりば)
  水に文字書く
水は逆さまに流れず
 水は高いほうから低いほうへ流れ、けっして逆さまに低いほうから高いほうへは流れはしないとの意。すべての物事には順序があり、何事も自然に従って行うべきだとのたとえ。
【類似の諺】
  下として上を計らうことなかれ
水は方円の器(うつわ)に従う
 水は入れ物の形によって、丸くも四角にもなるとの意。環境や交遊関係によって、人は善人にも悪人にもなるとのたとえ。
【類似の諺】
  麻に連(つ)るる蓬(よもぎ)
  善悪は友による
見ぬ京物語
 京都見物もしないで、あたかも見てきたかのように京都の話をするとの意。実際には見たこともない事柄を、まるで見たように法螺(ほら)を吹くことのたとえ。
【類似の諺】
  白河夜船
  知らぬ京物語
身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ
 溺死(できし)を覚悟して初めて、助かりそうな浅瀬もみつけられるとの意。一身を犠牲にする覚悟があってこそ窮地を脱し、物事を成就できるとのたとえ。
名人は人を謗(そし)らず
 名人ともなると他人の欠点などをあげつらって、とがめだてないとの意。一芸に秀でた人物は嫉(そね)みや妬(ねた)みがないから、人の短所などをいちいちいわないものだとのたとえ。
【類似の諺】
  大海は塵(ちり)を択(えら)ばず
面々の楊貴妃(ようきひ)
 人それぞれに自分の妻や恋人を絶世の美女たる楊貴妃のようだと思っているとの意。人にはそれぞれの好みがあり、好きになってしまうと欠点も目につかず、すっかり美人だと思い込んでしまうとのたとえ。
【類似の諺】
  好きに赤烏帽子(えぼし)
  蓼(たで)食う虫
門前市(いち)をなす
 門の前に人や車が群がり集まって、まるで市のようだとの意。地位や名声を慕って出入りする人の多いことのたとえ。
門前の小僧習わぬ経を読む
 寺の門前に住んでいる子供は、朝晩に僧たちの読経を聞いているので、習いもしないのにお経を読むことができるとの意。人は環境によって感化され、よくも悪くもなるとのたとえ。
【類似の諺】
  勧学院の雀(すずめ)は蒙求(もうぎゅう)を囀(さえず)
  鄭家(ていか)の奴(やっこ)は詩をうたう
門に入らば笠(かさ)を脱げ
 他家を訪れるときには、門を入った所で笠を脱ぎ、会釈をするものだとの意。どんな場合にも、世間の礼儀や風俗、習慣を欠いてはいけないとのたとえ。
【類似の諺】
  郷に入っては郷に従う
焼け石に水
 日に焼けて熱くなった石に、少々の水をかけても冷ますことはできないとの意。援助や努力が足りなくて効果のあがらないことや、努力しがいのないことのたとえ。
【類似の諺】
  塩にて淵(ふち)を埋(うず)む如(ごと)
安物買いの銭(ぜに)失い
 安い物は品質が悪いのがあたりまえだから、長もちしなかったりして、つまりは損をするとの意。あまりに値段の安い物を買うと不良品だったり、使い物にならなかったりして、掘出し物のはずが結局は高い買い物をしたのと同じことになるとのたとえ。
【類似の諺】
  始めきらめき奈良刀(ならがたな)
病治りて医師忘る
 病気が治ってしまうと医者のありがたみを忘れてしまうとの意。苦しいことが過ぎてしまうと、世話になった人のことなどすっかり忘れてしまうことのたとえ。
【類似の諺】
  暑さ忘れて陰忘る
  恩を知らぬは畜生にも劣る
(やみ)夜の錦(にしき)
 真っ暗な闇の夜に錦を着飾っても、だれも見る者はないとの意。むだなことやなんの役にもたたないことのたとえ。
【類似の諺】
  隣の宝を数える
病む目より見る目
 目を患うことはつらいに違いないが、それを介抱する者はもっとつらいとの意。病気の本人より、そばに付き添って世話をする者のほうがつらい思いをしているとのたとえ。
【類似の諺】
  子故の闇(やみ)
勇者は懼(おそ)れず
 真の勇者はどのような困難をも恐れずに立ち向かっていくとの意。勇者は何事にもひるまずに向かっていくことのたとえ。
【類似の諺】
  仁者は愁えず
  知者は惑わず
油断大敵
 注意を怠ること(油断)は自身を害する原因ともなるので、恐ろしい敵に等しいとの意。油断をしてはならないとのたとえ。
湯を沸かして水に入る
 わざわざ沸かした湯を使いもしないで、水の中に入れてしまうとの意。せっかくの努力をむだにしてしまうことのたとえ。
世は七さがり七あがり
 人の一生は浮き沈みの激しいものであるとの意。世渡りにはよいときもあれば、悪いときもあるので、有頂天(うちょうてん)になったり、絶望してはならないとのたとえ。
【類似の諺】
  浮き沈み七度
両方聞いて外知をなせ
 争いを裁くには、両方の言い分をよく聞いてから判決を下せとの意。物事を裁く場合は、公平でなければならないとのたとえ。
良薬口に苦し
 よく効く薬は苦くて飲みにくいとの意。忠告や諫言(かんげん)が喜ばれにくいことのたとえ。
【類似の諺】
  忠言耳に逆らう
論語読みの論語知らず
 論語を読んでも上滑りで、内容はさっぱり身についていないとの意。書物を読んでも字面のうえでしか理解できず、その教えを全然実行できないことのたとえ。
【類似の諺】
  陰陽師(おんみょうじ)身の上知らず
我が門(かど)にて吠(ほ)えぬ犬なし
 どんなに弱い負け犬でも、自分の家の前では大きな顔をして吠え立てるものだとの意。弱虫も自分の家の中ではいばっていることのたとえ。
【類似の諺】
  竈(かまど)将軍
  鳥なき里の蝙蝠(こうもり)
若木に腰掛けるな
 若い木は折れやすいから腰掛けてはいけないとの意。年若い者をあてにしたり、頼りにしてはならないとのたとえであるが、年少者はたいせつにすべきだとの解釈もある。
【類似の諺】
  出(い)ずる日蕾(つぼ)む花
  若木の下で笠(かさ)を脱げ
若木の下で笠(かさ)を脱げ
 若い木は将来どんなにりっぱな大木になるやも知れないから、笠を脱いで敬意を表すべきだとの意。若者には将来があり、どんなに出世するかわからないのだから、ばかにしたりしないで敬うのがよいとのたとえ。
【類似の諺】
  出(い)ずる日蕾(つぼ)む花
  若木に腰掛けるな
我が身の事は人に問え
 自分自身のことは、自分では気づかないことが多いので、人に尋ね聞くのがよいとの意。自分の欠点とか判断や行為の間違いは気づきにくいので、他人に指摘してもらって改めるのがよいとのたとえ。
【類似の諺】
  人の事は目に見ゆる
我が身をつねって人の痛さを知れ
 自分の身体をつねり、その苦痛に引き比べてみて、他人の苦しみを思いやれとの意。自分自身のこととして、他人のことも考えなければならないとのたとえ。
我が物故に骨を折る
 自分の衣食住の暮らしのために苦労するとの意。自分のためとあれば、苦労するのもやむをえないことのたとえ。
【反対の諺】
  布施(ふせ)無い経に袈裟(けさ)を落とす
(わざわい)を転じて福となす
 身に振りかかる災難を、うまく取り計らって幸福となるようにするとの意。禍福は予測できないので、禍も悲しむに足りず、幸いも喜ぶにあたらないが、幸福になるように努力すべきだとのたとえ。
【類似の諺】
  人間万事塞翁(さいおう)が馬
笑う門(かど)には福来る
 いつも笑い声が絶えないような家には自然と幸福がやってくるとの意。和気あいあいとして人々が仲よく暮らすことが幸福の根元なのだとのたとえ。
【類似の諺】
  学の前に書来る
(わ)れ鍋(なべ)に綴じ蓋
 破れた鍋にも、それ相応の修繕をした蓋があるものだとの意。どんな人にでも、その人にふさわしい配偶者がいるものだとのたとえ。また、すべてに似通った者同士がいっしょになるほうが、うまく暮らしてゆかれるとのたとえ。
【類似の諺】
  似た者夫婦[宇田敏彦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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