灯台下暗し(読み)トウダイモトクラシ

デジタル大辞泉 「灯台下暗し」の意味・読み・例文・類語

灯台とうだいもとくら

灯台1のすぐ下は暗いところから、身近な事情はかえってわかりにくいたとえ。
[類語]うおの目に水見えず

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精選版 日本国語大辞典 「灯台下暗し」の意味・読み・例文・類語

とうだい【灯台】 下(もと)=暗(くら)し[=暗(くら)がり]

  1. ( 灯台のすぐ下はかえって暗いところから ) 身近な事情にうといこと、身近な事は案外わかりにくいものであるというたとえ。
    1. [初出の実例]「灯台(トウダイ)もとくらし」(出典:俳諧・毛吹草(1638)二)

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ことわざを知る辞典 「灯台下暗し」の解説

灯台下暗し

灯火をともす照明具の下の辺りは、周囲よりも暗い。世間のことをよく知っている人も身近な事柄に意外にうといことや、近くにあるものには案外気づきにくいことのたとえ。

[使用例] 「だから、なによ。こんなくらいとこで。またお見合いの話なら逢ってもいいわ」「そうじゃないさ。おまえには好きなひとがいるんじゃないか」
 「いたらどうなの」と、わたしは父の悠長な話しぶりに苛立った。「パパは知らなかった。灯台もと暗しだね。年のせいかな」[原田康子挽歌|1956]

[使用例] 燈台もと暗しって言葉を知ってるだろ。パパは医者だが、医者だからかえって自分の体がよくわからないこともある[遠藤周作*灯のうるむ頃|1973]

[解説] この「灯台」は、岬の灯台ではなく、かつて菜種油などに火をともした室内の照明具のことです。現代でも、ランプ形の照明具の周辺をよく見ると、下の辺りがほの暗くなっているのがわかるでしょう。今日では、こうした照明具が使われなくなり、灯台といえばほとんどの人が岬の灯台を思い浮かべるようになりました。しかし、ことわざのほうは一六世紀から使われていたのに対し、最初の西洋式灯台である観音崎灯台が竣工したのが明治二年(1869)で、どちらが本来意味かは明らかでしょう。
 内容的にも、岬の灯台は遠方を照らし洋上の船に位置基準を示すもので、周囲を明るくするものではありません。岬の灯台と解してもかまわないとする議論一部にありますが、やはり室内の照明具と解するほうが、比喩も無理なく理解できると思われます。

中国〕丈八灯台、照遠不照近(一丈八尺の燭台は遠くを照らして近くは照らさない)

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