デジタル大辞泉
「優曇華」の意味・読み・例文・類語
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うどん‐げ【優曇華】
- 〘 名詞 〙 ( 「うどんはらげ(優曇波羅華)」の略 )
- ① クワ科のイチジク属の一種。インド原産で、ヒマラヤ、インド、セイロン島などに分布。葉は長さ一〇~一八センチメートルの先がとがった楕円形。花は小形で壺状の花托に包まれ、外からは見えない。果実は長さ約三センチメートルの倒卵形で食用となり、葉は家畜の飼料となる。仏教では、花が人の目に触れないため、咲いたときを瑞兆とみ、経典には三千年に一度咲くと伝える。咲くときは転輪聖王(てんりんじょうおう)が出現するという花。霊瑞華。空起花。希有花。うどんげの花。うどんげばな。
- [初出の実例]「かの不死薬、うどんげに劣らざらん」(出典:宇津保物語(970‐999頃)内侍督)
- [その他の文献]〔法華文句‐四上〕
- ② 仏にあいがたいことや、一般にきわめてまれなことのたとえに用いる。優曇波羅華(うどんはらげ)。うどんげばな。
- [初出の実例]「たまたまあふこそうどんげなれ、まづまづささをまいれといふてな」(出典:虎明本狂言・花子(室町末‐近世初))
- ③ 昆虫のクサカゲロウが他の物に産みつけた卵の俗称。二センチメートルくらいの白い糸状をした柄の先に丸い卵をつけたものを、一箇所にかためて産みつけるので、花のように見える。草木の枝や葉などのほか、家の天井などにも見られ、吉凶の前兆とされる。うどんげのはな。《 季語・夏 》
- [初出の実例]「優曇華やしづかなる代は復(また)と来まじ」(出典:火の島(1939)〈中村草田男〉)
- ④ ( 日本ではまれに花が咲くところからいう ) 植物「ばしょう(芭蕉)」の異名。
- [初出の実例]「優曇花開敷之由風聞。〈略〉芭蕉花歟之由申レ之」(出典:吾妻鏡‐貞応二年(1223)七月九日)
- ⑤ 「いちじく(無花果)①」の異名。〔重訂本草綱目啓蒙(1847)〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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優曇華 (うどんげ)
ウドゥンバラの花。〈優曇〉はサンスクリットのウドゥンバラudumbaraを音写した語〈優曇婆羅〉あるいは〈優曇鉢〉を省略したものである。ウドゥンバラは学名をFicus glomerata Roxb.といい,クワ科に属する植物でイチジクの1種であるが,花がくぼんだ花軸の中にあって,外からは見えない。このためインドの伝説では,3000年に1度しか花を開かない,あるいは,如来や転輪聖王(てんりんじようおう)が出現した時だけ花を開くといわれた。仏教の経典では仏や仏の教えに遭いがたいことのたとえとして常套的にこの語が用いられている。仏教の伝来とともに日本にもこの語は伝わり,〈優曇華の花〉として一般に稀有なことがらのたとえに用いられる。
執筆者:吉岡 司郎 クサカゲロウ科の昆虫の卵は日本では一般にうどんげと呼ばれる。糸状の柄の先に長楕円形の卵をつけ,古来植物性のものとみなされ,吉事または凶事の兆しとされてきた。古くは銀の花とも呼ばれていた。
→クサカゲロウ
執筆者:塚口 茂彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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優曇華
うどんげ
優曇はサンスクリット語ウドゥンバラu
umbaraの音写で、樹木名。したがって優曇華はウドゥンバラの花の意であるが、一般には「優曇華の花」ともいう。
仏典によれば、優曇華は3000年に一度開き、この花の開くとき転輪聖王(てんりんじょうおう)(正法(しょうぼう)によって世を治める理想の王)が世に現れるという。希有(けう)なできごとの例として、仏に出会うことのむずかしさの比喩(ひゆ)に用いられている。
[松田愼也]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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優曇華【うどんげ】
(1)サンスクリットのUdumbaraを音写した〈優曇婆羅〉〈優曇鉢〉に由来する語。3000年に一度しか花を開かないというインド伝説上の植物。稀有(けう)なことにたとえる。(2)クサカゲロウの卵の俗称。
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優曇華 (ウドンゲ)
出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の優曇華の言及
【クサカゲロウ(臭蜻蛉)】より
…北海道,本州中部以北,朝鮮半島,中国,シベリアに分布し,成虫は5~8月に発生する。[優曇華(うどんげ)]【塚口 茂彦】。…
※「優曇華」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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