大手電力会社、新規参入電力事業者、自家発電事業者などが余剰電力を売買する取引所。英語名のJapan Electric Power Exchangeの頭文字をとり、略称JEPX。政府の総合資源エネルギー調査会電気事業分科会が2003年(平成15)に卸電力市場を創設するよう答申したことを受け、同年11月、電力会社、特定規模電気事業者(PPS)、自家発電事業者などが出資して発足し、2005年4月から取引を開始した。発足時は有限責任中間法人であったが、2009年から一般社団法人となった。余剰電力を抱える事業者と電力が不足する事業者を仲介し、電力の有効活用と透明性のある価格形成、および事業者間の競争を促して電気料金を引き下げることを目的とする。
翌日分の電力を30分単位で取引するスポット市場や、向こう1年間の電力を1か月ないし1週間単位で取引する先渡し市場などを運営している。成約通りに電気が授受されていることを監視するとともに、市場操作を目的とした不正取引に制裁を課す機能ももつ。電力が足りなくなった電力会社に緊急融通する役割も担っている。しかし、2011年の東日本大震災後には原子力発電所の停止などで想定取引量を確保できず、取引所から脱退する会員が相次いだ。その後、会員数は増え(2014年4月時点で79社)、電力取引量も徐々に増えたものの、2013年の取引量は1日当り3000万キロワット時と、全国電力消費量の約1%にとどまっている。電力自由化が進んだ欧米では1990年代に卸電力取引所の設立が相次ぎ、現在、ドイツで販売される電力の約4割、イギリスでは約3割が取引所経由で売買されている。日本でも取引量の拡大が課題となっており、余った電力の取引所への売却義務化や、電力需給にこまめに対応できる1時間前受け渡し市場の創設などが検討されている。
[編集部]
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