日本訪書志(読み)にほんほうしょし(英語表記)Rì běn fǎng shū zhì

改訂新版 世界大百科事典 「日本訪書志」の意味・わかりやすい解説

日本訪書志 (にほんほうしょし)
Rì běn fǎng shū zhì

中国,清代の楊守敬の著した書誌学書。30巻。清末に黎庶昌(れいしよしよう)が外交官として日本に駐在したとき,中国ですでに滅び日本にだけ伝えられるようになったものを含め,多くの書物探訪購入し,のち中国に持ち帰った。とくにその精華をえらび《古逸叢書》に編修し日本で復刻したが,校勘の作業を含めその実務はすべて随員であった楊守敬の担当であった。この書物は《古逸叢書》に収められたものをはじめ,日本で触目し得た古書の全記録である。この時代すでに目は欧米を向いていて,中国の文物への関心を薄れさせていた日本から,実に大量の善本が里帰りした事実を知ることができる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「日本訪書志」の意味・わかりやすい解説

日本訪書志
にほんほうしょし

清(しん)の学者楊守敬(ようしゅけい)が著した漢籍の貴重書解題。16巻、八冊。楊守敬は1880年(明治13)に駐日清国公使館員として来日、4年間在留する間に、わが国に伝存する多数の貴重な漢籍を収集し、帰国後、それを研究して本書を完成した。書名・版式・伝来序跋(じょばつ)・内容などを記載し、清末における書誌学研究の進歩を示す優れた業績である。1897年(光緒23)の楊氏刊本がある。

[福井 保]

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世界大百科事典(旧版)内の日本訪書志の言及

【楊守敬】より

…黎庶昌の随員として日本に滞在中,書籍の探訪につとめ,数十万巻の善本を得た。《日本訪書志》はその書誌学的研究である。【尾崎 雄二郎】。…

※「日本訪書志」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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