旧ユーゴスラビア国際戦争犯罪法廷(読み)きゅうユーゴスラビアこくさいせんそうはんざいほうてい(英語表記)International Criminal Tribunal for the former Yugoslavia; ICTY

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

旧ユーゴスラビア国際戦争犯罪法廷
きゅうユーゴスラビアこくさいせんそうはんざいほうてい
International Criminal Tribunal for the former Yugoslavia; ICTY

旧ユーゴスラビアにおける内戦での戦争犯罪や人権侵害を裁く国際戦争犯罪法廷。オランダハーグに所在。1991年の旧ユーゴスラビア解体以降の内戦,特にボスニア・ヘルツェゴビナの領土分割をめぐる民族間の対立(→ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争)で発生したセルビア人による大量虐殺や集団婦女暴行事件など,民族浄化を目的とした非人道的行為が国際人道法に違反し,人道に対する罪(→国際犯罪)にあたるとして,その責任を有する者を裁くため,1993年5月国際連合安全保障理事会で設置が決定した。裁判部,書記局,検察官によって構成され,常任裁判官 16人,訴訟裁判官 12人が置かれる。第1審と上訴審からなる二審制で,死刑はなく,最高刑は終身刑。1995年セルビア人勢力代表のラドバン・カラジッチほか 24人を起訴。1999年,コソボ紛争時の非人道的行為についてユーゴスラビア連邦大統領スロボダン・ミロシェビッチを起訴。2001年ミロシェビッチは逮捕され,ハーグに移送されて審理が進められたが,判決を待たずして 2006年死亡した。2008年,逃亡していたカラジッチがセルビア当局に拘束され,その後 2011年までにすべての被起訴者の身柄が拘束された。2016年同法廷はカラジッチに対し,1995年のスレブレニツァの虐殺における大量虐殺など 10の罪に有罪の判決をくだし,禁錮 40年の刑を言い渡した。(→ユーゴスラビア史

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