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国際犯罪 こくさいはんざいinternational crime

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

国際犯罪
こくさいはんざい
international crime

国際社会の一般的利益を侵害する犯罪行為で,具体的には以下のいずれかの意味で用いられる。 (1) 外国性をもつ犯罪 犯人や犯行が複数の国家にまたがっており,複数の国家の刑法と刑事管轄権に触れるもの。 (2) 国際法違反の犯罪 個人の刑事責任が各国の刑法の規定によらず,国際法に基づき直接成立するもの。第2次世界大戦後に日・独の戦争指導者に対して科された「平和に対する罪」や「人道に対する罪」,集団殺害罪などがこれにあたる。 (3) 諸国の共通利益を害する犯罪 多数の諸国または人類が共通の利害関係を持つ特定の法益を害するもの。海賊や奴隷売買などが古くからあげられ,今日では多数国間条約に基づき犯罪とされる航空機の不法奪取や国際的に保護された者に対する危害,人質の奪取などがその例である。 (4) 国家の国際犯罪 最近では,国際社会の基本的な利益の保護に不可欠な国際法上の義務を国家が侵害したときには,国家の国際犯罪が成立すると主張されるようにもなっている。侵略の禁止,民族自決権の保障,人間存立の保護 (奴隷,ジェノサイドアパルトヘイトの禁止) ,人間環境の保全 (大気・海洋の大量汚染の禁止) などの重要な国際法益に対する国家の侵害がその例とされる。

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デジタル大辞泉の解説

こくさい‐はんざい【国際犯罪】

海賊行為・人身売買・麻薬取引など、諸国家が共同して鎮圧しようとする犯罪。
犯人や犯罪行為が複数の国にまたがっている犯罪。
侵略戦争その他の武力行為など国際社会に対する犯罪。

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百科事典マイペディアの解説

国際犯罪【こくさいはんざい】

複数の国家の国内刑事法に関わる犯罪,もしくは国際法違反の犯罪。古典的には海賊行為,奴隷売買などであり,近年では国際間の麻薬や銃器の不正取引,ハイジャック,国際テロ,国際的な環境汚染などがある。
→関連項目外国人犯罪刑事特別法国際警察国際刑事裁判所組織犯罪

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世界大百科事典 第2版の解説

こくさいはんざい【国際犯罪】

多義的な概念で,以下のそれぞれ,あるいは(1)と(2),またはすべてを指す意味で用いられる。(1)国際平和に対する罪としての侵略戦争や人道に対する罪としての集団殺害(ジェノサイド)など,国際社会そのものの法益を侵害する行為で,国際刑事裁判所のような国際機関によって処罰される犯罪。(2)海賊,奴隷売買,麻薬取引,海底電線損壊,ハイジャッキングなど,人類あるいは各国に共通の法益を侵害する行為として,国際慣習法または条約上認められた犯罪。

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大辞林 第三版の解説

こくさいはんざい【国際犯罪】

諸国家の共通利益を侵害する行為や、関連する人や行為が複数国にまたがる犯罪。また、侵略戦争など国家による国際社会に対する違法行為。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

国際犯罪
こくさいはんざい
international crime

国際犯罪ということばは4通りの意味に用いられる。第一に、犯罪人や犯罪行為が複数の国にまたがっている場合に、これを国際犯罪ということがある。この場合は、それぞれの国内法(刑法)上の犯罪であるから、それらの国家が独自に取締りや処罰を行うが、国際刑事警察機構を通じて国際協力の行われることもある。
 第二に、海賊行為、奴隷売買、麻薬取引のように、国際法上、特殊な効果をもつ犯罪を国際犯罪ということがある。たとえば海賊行為は古くから「人類共通の敵」とみなされ、通常ならば国家は公海上では自国の船や航空機に対する以外には公権力を行使することはできないにもかかわらず、海賊については、いずれの国家も、自国の船であると否とにかかわらず、これを捕らえて自国に連行して処罰することが国際法上で認められている。他の犯罪と異なり、これらの犯罪は国際法上で特殊な効果をもっているわけである。もっとも、処罰そのものは、それぞれの国家が国内法を適用して行うのであって、国際社会の機関が行うわけではない。
 第三に、侵略戦争をとくに国際犯罪ということがある。たとえば、1924年に国際連盟総会で採択されたジュネーブ議定書(発効せず)の前文では、侵略戦争が連帯関係の侵害および国際犯罪であることを確認し、74年に国連総会で採択された決議「侵略の定義」の第5条は「侵略戦争は国際平和に対する罪である。侵略は国際責任を生ずる」と規定している。侵略戦争が国家の犯罪であり、国際的制裁の対象となりうることは諸国の共通の法的確信であるといってよい。その意味でとくに侵略戦争を国際犯罪ということがある。
 第四に、国際的手続で処罰の行われる犯罪を国際犯罪ということがある。第一次世界大戦後、ベルサイユ条約が、前ドイツ皇帝ウィルヘルム2世を特別裁判所で処罰すべきことを定め、また第二次世界大戦後、連合国がニュルンベルクで国際軍事裁判所を、東京で極東国際軍事裁判所を設け、ドイツや日本の戦争指導者を処罰したが、これらは侵略に対する罪、平和に対する罪、または人道に対する罪の責任を問うものとされた。1951年に発効したジェノサイド条約は、集団殺害罪について、犯罪人を行為地の国内裁判所で処罰すべきものとするだけでなく、国際的手続での処罰のため国際刑事裁判所の設置を予定していたが、実際には設置は容易に実現しなかった。しかし、その後国連国際法委員会の作成した国際刑事裁判所規程草案に基づき98年ローマで開かれた政府間外交会議で同裁判所の設立のための条約が採択された。これにより、個人の重大な国際犯罪を国際的に処罰する制度が樹立された。そこでは、集団殺害罪のほか、人道に対する罪、戦争犯罪および侵略の罪が、コアクライムcore crime(犯罪のなかの犯罪)として処罰の対象とされている。[石本泰雄]
『太寿堂鼎「国際犯罪の概念と国際法の立場」(『ジュリスト』720号所収・1980・有斐閣)』

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世界大百科事典内の国際犯罪の言及

【国際責任】より

…同格的な主権国家が併存する国際社会には,平等な当事者間の利害の調整または負担の公平をはかろうとする民事責任的思考が受け入れられやすい。もっとも,第1次大戦後,侵略戦争は国際社会全体の利益を害するから,国際社会全体の名で糾弾されるべき国際犯罪であるとする観念がしだいに形成され,現に,第2次大戦後,敗戦国の戦争指導者は〈平和に対する罪〉を犯したという理由で処罰された。しかし,その処罰の法的根拠については,議論の余地があった。…

※「国際犯罪」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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