出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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[映画音楽の多様化]
大編成のオーケストラ演奏による,こうしたアメリカ映画的なドラマチックな音楽が世界的にも類型化される一方,戦後,チターやギターだけの独奏で新鮮な効果を出すことに成功したイギリス映画《第三の男》やフランス映画《禁じられた遊び》のような作品も現れる。1950年代には,雅楽や能,謡,あるいはそこに西洋の管弦楽の音を絡ませたりした黒沢明監督作品(《羅生門》《七人の侍》)や溝口健二監督作品(《雨月物語》《近松物語》)の早坂文雄(1914‐55),あるいはインドの民族楽器シタールによるサタジット・レイ監督作品(《大地のうた》《大河のうた》)のラビ・シャンカル(1920‐ )の新しいサウンドが世界の映画人の注目を浴びる。またアメリカでもモダン・ジャズをドラマチックなスタイルの中に吸収した《黄金の腕》のE.バーンスタインや,《或る殺人》のデューク・エリントンの〈シンフォニック・ジャズ〉が出現し,さらに50年代末から60年代にかけて,フランス映画の中にもいち早くモダン・ジャズを映画音楽として取り入れ,若々しい現代的ないぶきの表現に成功する。…
…戦後社会の一つの象徴的産物である闇市にのさばるやくざたちを取りあげ,中年を過ぎた酔いどれの医師(志村喬)と結核を病むやくざの青年(三船敏郎)との交流を描きながら,やくざの世界の至高の道徳律であり誇りである〈仁義〉の虚偽とむなしさを痛烈にあばきつつ,日本の戦後社会の世相と精神構造,その動揺と混乱を的確かつ鮮烈にとらえた作品であった。映画音楽を〈対位法〉的にとらえた作曲家早坂文雄(1914‐55)とのコンビ第1作であり,1946年の東宝ニュー・フェイス三船敏郎(1920‐97)とのコンビのスタートとなった作品でもある。この映画が封切られた48年4月に第3次東宝争議が始まり,その結果,会社首脳の卑劣さのため〈撮影所に対する献身的な気持ち〉を失った黒沢は,この映画を最後に東宝を離れた。…
※「早崎瀬戸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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