勲章・褒章がわかる事典 「春秋叙勲」の解説 しゅんじゅうじょくん【春秋叙勲】 叙勲の形態の一つ。毎年春(4月29日:昭和の日)と秋(11月3日:文化の日)の2回行われている。日本の勲章は、1875年(明治8)の太政官布告で始まり、1883年の叙勲条例によって年2回の定期が定められ、これが現在の春秋2回叙勲の始まりとなった。第二次世界大戦後一時停止されていた生存者叙勲が、前年に閣議決定された「叙勲基準」にもとづいて1964年(昭和39)4月29日に再開され、以後、この日と11月3日に行うことが慣例となった。現在は、2003年(平成15)5月に叙勲基準を廃止して新しく閣議決定された「勲章の授与基準」により実施されている。同時に内閣総理大臣が決定した「春秋叙勲候補者推薦要綱」は、受章者の予定数を毎回おおむね4000名とし、その各章候補者を衆議院議長、参議院議長、国立国会図書館長、最高裁判所長官、内閣総理大臣、各省大臣、会計検査院長、人事院総裁、宮内庁長官、内閣府に置かれる外局の長が内閣総理大臣に推薦するとしている。内閣総理大臣(内閣府賞勲局)はその候補者を審査のうえ閣議決定し、天皇に上奏して裁可を受け、発令される。候補者は原則70歳以上とされ、精神的肉体的に著しく労苦の多い環境で業務に精励した人や人目につきにくい分野で多年精励した人は55歳以上が対象となる。一般人も、自身や2親等内の親族をのぞき、賞勲局あてに推薦できることになっている。勲章の授与・伝達は次のようになっている。大勲位菊花(きっか)章、桐花(とうか)大綬章(桐花章)、旭日(きょくじつ)大綬章、瑞宝大綬章は宮中で授与式を行い、天皇が親授する(親授式)。旭日重光章、瑞宝(ずいほう)重光章は宮中で内閣総理大臣が受章者に伝達する(伝達式)。中綬章以下は、所管大臣が受章者に伝達するが、一部は都道府県知事が伝達する。いずれの場合も、授与後に受章者は勲章を着用し、配偶者同伴で天皇に拝謁する。なお、危険業務従事者叙勲、また褒章(ほうしょう)も同じ日に発令される。 出典 講談社勲章・褒章がわかる事典について 情報