前身の福音商会電機製作所が1938年に創業し、スピーカーの販売を始めた。61年にパイオニアに社名を変更。かつては欧米の証券取引所にも上場し、音響メーカーとして世界的な知名度を誇った。度重なる業績低迷により他社の出資を受け、現在は三菱電機やNTTドコモが大株主となっている。2018年3月期連結決算は売上高が3654億円、純損益が71億円の赤字。
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スピーカーなど音響・映像機器の老舗(しにせ)メーカー。経営不振のため2019年(平成31)香港の投資ファンドの完全子会社となった。
実業家の松本望(のぞむ)(1905―1988)が1937年(昭和12)に高音質スピーカーの開発に成功し、翌1938年に設立したスピーカー製造の福音商会電機製作所が前身である。第二次世界大戦後の1947年(昭和22)福音電機として新発足。スピーカー技術をてこに、音響・映像会社としての地歩を築き、1961年にパイオニアへ社名変更した。1962年にセパレート型ステレオ、1981年にレーザーディスクプレーヤーを相次いで開発し、アンプの山水(さんすい)電気、チューナーのトリオ(現、JVCケンウッド)とともに「オーディオ御三家」とよばれた。創業40周年の1978年に総合エレクトロニクスメーカーへの脱皮を宣言。1990年(平成2)にGPS(全地球測位システム)を搭載したカーナビゲーション、1997年には家庭用プラズマテレビを世界で初めて開発するなど技術力には定評があった。しかし液晶テレビの普及や楽曲の通信での提供といったデジタル化の流れに乗り遅れ、2009年(平成21)にプラズマテレビから撤退し、2015年には家庭用音響機器事業も売却し、カーナビゲーションなど車載事業での再建を目ざした。その後も割安な製品を提供するアジア企業の攻勢にさらされ、業績の不振が続き、2019年に香港ファンド、ベアリング・プライベート・エクイティ・アジアから1000億円余りの資金拠出を受け、同ファンドの傘下に入った。同年、1961年以来続けてきた東証上場も廃止した。本社は東京都文京区本駒込(ほんこまごめ)。連結従業員数約1万6800人(2018)、資本金928億円(2018)。売上高は3654億円(2018)とピーク時(2007、7971憶円)の半分以下で、2019年3月期まで3期連続で赤字。
[矢野 武 2019年7月19日]
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日本のオーディオ製品のトップ・メーカー。前身は1938年松本望によりスピーカーの製造を目的として東京に個人創業された福音電機製作所。41年改組され,有限会社福音電機製作所となる。第2次大戦後の47年に福音電機(株)を設立し,福音電機製作所を吸収合併した。50年には日本最初のハイファイスピーカー〈PE-8〉を開発し,スピーカーのパイオニアとしての基礎を確立する。61年,現社名に改称。翌62年高級セパレートステレオを開発し,部品メーカーから完成品メーカーへの本格的転身を行った。高度成長時代には趣味性の高いステレオの需要が増大し,同社の業績は飛躍的な伸長を遂げた。また,乗用車の急速な普及に着目し,カーステレオの分野にも進出し成功を収めている。近年は,オーディオ部門の低迷をカバーするために,レーザーディスク,CATV等の映像・情報分野にも進出し,総合映像音響メーカーを目指している。売上高の海外比率は68%。資本金490億円(2005年9月),売上高7336億円(2005年3月期)。
執筆者:古矢 真義
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…地球にもっとも近い金星には,ソ連が1965年金星表面にペナントを送り込んで以来,82年までに14機のベネラVenera(金星の意)探査機を送り,金星の表面の探査においてはいつも先駆的役割を果たしてきた。一方,アメリカはマリナー10号(1973‐74)によって金星の上空の大気を測定し,パイオニア金星(1978)によって地表データを得ている。 火星より遠い,木星以遠の星と金星より太陽に近い水星とは,そこにいくためにいずれもロケットの能力が格段に大きいものが要求されるので〈深宇宙〉ということがある。…
…計画は70年10月の8号まで実施され,探査機にはコムギやマツの種,バクテリア,カメ,ハエなどが乗せられていた。
[パイオニア]
アメリカの月探査計画のごく初期に,パイオニアの名を冠した月探査機が打ち上げられているが,成功したのは1959年3月に打ち上げられ,バン・アレン帯や惑星間磁場の測定を行い月から約6万kmを通過して人工惑星になった重量6kgの4号のみで,1958年4月から12月までに発射された0~3号の4機および59年9月から60年12月の間に月の孫衛星を目ざして打ち上げられた4機のパイオニア・オービターはいずれも失敗しており,その後,月探査にパイオニアの名は使用されていない。パイオニア計画
[レンジャー]
月面に重量300~370kgの探査機を命中させ,衝突直前まで月面のクローズアップ写真を撮るとともに,衝突による振動を搭載した地震計で計測するなど,月軟着陸のための準備的性格をもつアメリカのNASAによる計画。…
…美しい環をもつことで有名である。1979年9月1日,惑星探査器パイオニア11号が表面から2万1400kmまで接近したのをはじめとして,80年11月と81年8月にはボエジャー1,2号がそれぞれ12万4000kmと10万0800kmまで接近してテレビ撮影など詳しい観測を行った。 表面は木星と同様な縞模様が見られるが,表面重力が弱いのと太陽から遠く低温のため,木星より大気活動が弱く,渦や斑点も少なく模様は淡い。…
…探査機(名称パイオニアPioneer)による月,惑星,あるいは惑星間空間の探査計画。0号から2号はアメリカ空軍,3号,4号はアメリカ陸軍が担当,以降はNASA(ナサ)によって行われた。…
…また着陸探査体に搭載されたテレビカメラにより,金星表面が岩だらけの世界であり,意外に明るい(地球での曇りの日程度)ことを示す画像を伝送した。78年の打上げの際にはソ連がベネラ11,12号,アメリカがパイオニア・ビーナス1,2号と,計4機の探査機を金星に送った。ベネラ11,12号には雷の検知器が搭載され,平均として毎秒25回,合計約1000回の落雷を観測した。…
…60年代半ばまでは日本コロムビア,日本ビクターといった伝統を誇るメーカーや松下電器産業,東京芝浦電気(現,東芝)などの総合家電メーカーが業界をリードしていた。つづく60年代後半から70年代前半には,回路技術で先発大企業に差をつけたトリオ(現,ケンウッド),山水電気,パイオニア,あるいは赤井電機やティアック(この2社はおもにテープデッキ)といったオーディオ(音響)機器専業メーカーが先発の大企業を抑えてそのシェアを拡大した。このように戦後の日本の音響機器工業は大企業が先行し,後発の中小専業メーカーが追いかけリードする,といった他の家電産業にはみられない特異なパターンで成長を続けた。…
※「パイオニア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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