かぐや(読み)カグヤ

デジタル大辞泉 「かぐや」の意味・読み・例文・類語

かぐや

宇宙航空研究開発機構(JAXAジャクサ)により、平成19年(2007)9月に種子島宇宙センターからH-ⅡAロケットを使って打ち上げられた日本の月探査機愛称。正式名称はSELENEセレーネ(Selenological and Engineering Explorer)。主衛星と「おきな」「おうな」という2機の子衛星からなり、月を周回しながら高性能の機材を使って月全体の重力場の測定や極地に氷があるかどうかなどを調査。平成21年(2009)6月11日、制御落下により月面に落下し、運用を完了した。名称は竹取物語に由来。
[補説]月の起源と進化の解明、将来の月利用のため多様な観測が行われた。月の表と裏では重力異常に差があり地殻の構造や形成過程が異なること、月の南極永久影(一年を通して太陽光が当たらない場所)には水の氷が存在しないこと、月の海とよばれる部分の地下構造は玄武岩レゴリスが層状になっていることなどが明らかになった。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「かぐや」の意味・わかりやすい解説

かぐや

宇宙航空研究開発機構(JAXA)が2007年(平成19)9月に打ち上げた月探査機。おもな目的は、月の起源と進化を解明するための科学データの収集と、月周回軌道への投入および軌道制御技術の実証実験である。正式名称はセレーネSELENE:SELenological and Engineering Explorer)。大きさは2.1メートル×2.1メートル×4.8メートル。打上げ時の質量は約2900キログラム。主衛星と二つの副衛星「おきな」と「おうな」で構成された。主衛星は軌道高度100キロメートルの月周回軌道に投入され、蛍光X線分光器やレーザー高度計などの14種類の観測機器を使い、月を詳細に観測した。また、ハイビジョンカメラで月の地平線から地球が姿を現す「地球の出」などの映像を地球に届けた。副衛星の「おきな」はリレー衛星で、遠月点高度2400キロメートルの月周回楕円(だえん)軌道に投入され、月の裏側の重力場計測のための地上局と主衛星間の通信をリレーした。「おうな」(VRAD衛星)は遠月点高度800キロメートルの月周回楕円軌道に投入され、電波を使って月周辺の重力場を測定した。2009年6月に「かぐや」は運用を終え、月面に落下させられた。

 かぐやはアメリカアポロ計画(1960~1972年)以後最大の月探査を行い、その後に中国の「嫦娥(じょうが)1号」、インドの「チャンドラヤーン1号」と続く月探査再開の先駆けになった。

[編集部]

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