有磯海(読み)アリソウミ

精選版 日本国語大辞典 「有磯海」の意味・読み・例文・類語

ありそうみ【有磯海】

  1. 富山県高岡市伏木から氷見(ひみ)市にわたる海岸、および、富山湾西部の古称。カズラ名所歌枕。ありそのうみ。
    1. [初出の実例]「わせの香や分入る右は有磯海」(出典:俳諧・奥の細道(1693‐94頃)黒部)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「有磯海」の意味・わかりやすい解説

有磯海
ありそうみ

富山湾の西部、富山県高岡市伏木(ふしき)から氷見市(ひみし)にかけての海域の古名。風光明媚(めいび)な海岸で、越中(えっちゅう)(富山県)の国司として伏木に居住した大伴家持(おおとものやかもち)が『万葉集』巻17に「かからむとかねて知りせば越(こし)の海の荒磯の波も見せましものを」と詠み、後世これが地名と解釈され、歌枕(うたまくら)となった。また芭蕉(ばしょう)の『奥の細道』にも有磯海の句が残されている。海域は、富山湾東部が海岸より急に深くなるのに比して、大陸棚が広く発達している。

[深井三郎]

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