遺伝子レベルでの調節によって、クロロフィルは合成しないが、カロチノイドを盛んに合成するようになった色素体のことで、雑色体ともいう。プロプラスチドから直接に分化して有色体となることもあるが、葉緑体のクロロフィルが分解消失してもカロチノイドが保持されたり、または追加合成されて有色体となることもある。いずれにしてもチラコイドは退化するが、そのかわりに多量のカロチノイドがたまり、ときには結晶状をなしている。トウガラシやトマトの果実、ニンジンの根、ヒマワリ、キンポウゲ、タンポポなどの花びらの細胞にみられる。なお、有色体あるいは雑色体という語は、葉緑体との関係で紛らわしいため、最近では黄色体とよばれることが多くなっている。
[佐藤七郎]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…葉緑体の発達,退化の制御のしくみはよくわかっていないが,サイトカイニンは葉緑体の発達を促進し,退化を抑制する。有色体chromoplastを含む果実の場合には,果実の成熟時に葉緑体のチラコイドが崩壊し,多量のカロチノイドを含むプラスト顆粒またはカロチノイドの結晶で満たされ有色体となる。
[化学反応]
光を受けて光合成を行っている葉緑体は(1)細胞質でのショ糖合成の基質としてジヒドロキシアセトンリン酸を細胞質へ放出するほか,(2)ジヒドロキシアセトンリン酸と3‐ホスホグリセリン酸およびオキサロ酢酸とリンゴ酸のシャトルshuttleを使って,間接的にATPを細胞質へ運び出す(図7)。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」