黄化(読み)オウカ

精選版 日本国語大辞典 「黄化」の意味・読み・例文・類語

おう‐かワウクヮ【黄化】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 光が当たらないため緑色植物が黄色になり、茎や葉が軟弱化する現象。葉緑素の形成が妨げられ、カロチノイド生成だけが進むために起こる。モヤシはこの現象を応用して作られる。黄化現象。
  3. 白い紙や布などが黄ばむこと。
    1. [初出の実例]「紙質も黄化した書類の中から」(出典:堕落(1965)〈高橋和巳〉五)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「黄化」の意味・わかりやすい解説

黄化
おうか

緑色植物がクロロフィルを形成しないために黄色あるいは黄白色になることをいう。ごく普通にみられるのは、種子暗所で発芽させた場合におこる「もやし」の黄化で、これはクロロフィルが形成されないためにカロチノイドの黄色がみられるためである。このような黄化した植物は、細胞壁のセルロースの形成が不十分なため、組織は柔らかく、伸長が著しい。細胞は細胞間隙(かんげき)が大きく、細胞構造も未分化状態になっている。黄化はこのほか、正常な植物でも、クロロフィルの構成元素であるマグネシウムや、クロロフィル合成に必要な鉄、マンガン欠乏によってもおこり、カロチノイドも形成されないと白化(はくか)する。ウイルスの感染によって黄化がおこる場合は葉緑体の発達が悪くなり、クロロフィルが形成されなくなるためである。この黄化が葉の一部でおこると斑入り(ふいり)葉となる。

吉田精一

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「黄化」の意味・わかりやすい解説

黄化
おうか
etiolation

緑色植物を暗所で育てたときに,葉緑素などの色素が合成されないで淡色となること。色素すべてがつくられなければ白くなるが,カロテノイドが合成されていればその色が現れるので黄色くなる。黄化した植物では,これに伴って徒長などの現象もみられ,これらの状態をも含めて黄化という語を用いることが普通である。黄化したマメの芽生えがもやしである。

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