デジタル大辞泉
「服ふ」の意味・読み・例文・類語
まつろ・う〔まつろふ〕【▽服ふ/▽順ふ】
[動ハ四]《「まつらう」の音変化》服従する。従う。
「大君に―・ふものと定まれる官にしあれば」〈万・四二一四〉
[動ハ下二]服従させる。従わせる。
「もののふの八十伴の緒を―・ヘの向けのまにまに」〈万・四〇九四〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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まつろ・うまつろふ【服・順】
- [ 1 ] 〘 自動詞 ハ行四段活用 〙 「まつらう(服)」の変化したもの。
- [初出の実例]「其の麻都漏波(マツロハ)ぬ〈麻より下の五字は音を以ゐよ〉人等を和平(やは)さしめたまひき」(出典:古事記(712)中)
- [ 2 ] 〘 他動詞 ハ行下二段活用 〙 つき従わせる。服従させる。→語誌。
服ふの語誌
( 1 )名詞形「まつろえ(服)」から下二段他動詞の存在が考えられ、「万葉‐四四六五」の「麻都呂倍(マツロハ)ぬ 人をもやはし」の「麻都呂倍」は、意味からみて「倍」を「波」の誤字とみて「ハ」と読まれることが多いが、字のとおり「ヘ」と読んで[ 二 ]の例とする説もある。
( 2 )マツロフ(四段)のロは、「古事記」では甲類、「万葉集」では乙類の仮名で書かれている。同様のゆれはウツロフ(四段)のロにも見られる。ウ列音と乙類オ列音は同一結合単位内には共存することが少ないという点から、甲類のロが本来とされる。しかし、ススロフ・ツヅシロフなど、フが接して再活用し、かつア列音からオ列音に転換しているものを見ると、いずれも乙類オ列音になっており、こうした再活用に伴う音韻的転換の場合には、乙類のものが当初から見られたと考える説もある。
まつら‐・う‥ふ【服・順】
- 〘 自動詞 ハ行四段活用 〙 ( 動詞「まつる(奉)」に反復・継続を表わす上代の助動詞「ふ」が付いてできたもの。貢物を献上しつづけるというところから ) 従いつく。服従する。まつろう。
- [初出の実例]「這ふ虫も 大君に麽都羅符(マツラフ)」(出典:日本書紀(720)雄略四年八月・歌謡)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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