版材に木を使った凸版印刷。もっとも古い印刷方法で、7世紀ごろから中国で経典、仏像、紙幣などの印刷に使っていた。木版には板目木版と木口(こぐち)木版とがある。板目木版は、朴(ほお)や桜の材を縦に切った板を版材(版木)とし、これに彫刻をする。この版に刷毛(はけ)で水性インキをつけ紙を当て、その上からバレンで擦って印刷をする。文字の種類の多い日本では、活版印刷発明後も江戸時代までは出版に使われていた。木口木版は、つげ材を横に切った板に彫刻した版である。板目木版に比べて非常に堅いので、白抜きの図柄が多い。木口木版はイギリスで開発され、ヨーロッパで使用されていたので西洋木版という人もある。味わいのある印刷物ができる。
[平石文雄]
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…ここでは狭義の版本だけを取り上げることとする。義浄三蔵(635‐713)の《南海寄帰内法伝》によれば,インドでも型をもって多数の小塔を造り,印板を使用して経文を絹などに印刷したのを見かけたとあり,その他傍証とするに足るものも存するから,厳密な意味での木版印刷術の発祥地はインドであるかもしれない。しかし木版印刷の盛行を招来したのは中国人であった。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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