本宮宿(読み)もとみやじゆく

日本歴史地名大系 「本宮宿」の解説

本宮宿
もとみやじゆく

奥州道中の宿駅の一つで磐城街道、奥州西街道(相馬街道)二本松街道(会津街道)が分岐する要衝の地にある。宿はきた町と南町から構成される。北町は安達太良明神を遷座した久安二年(一一四六)頃から集落ができ始めたと伝え、中世以来中通りと会津を結ぶ要地となっていた。天正一三年(一五八五)頃北町はあら町まで延び、地形上、町の進展がはばまれていた(相生集)。南町は慶長六年(一六〇一)五月と推定される上杉景勝の臣直江兼続の石栗将監宛書状(小沼家文書)に、小沼伊賀守貞長(もと田村清顕の臣)に本宮の荒地二五〇石を与えるとあり、以後貞長を中心に町づくりが進められた。貞長が八名の主立った百姓新町開発の計画を進めていた折、伊達政宗の上府があり、貞長は政宗を出迎え新町起立の意図を披瀝した。政宗は将来に備え本陣としたい意図もあって、永楽銭二〇〇貫文を援助した。貞長はこれを六一名の小百姓にも分け与え、町割に着手し同一三年作事が完成、一〇月に移転した。新町は舟渡ふなと(現上町)なか(現中条)やなぎ(現下町)の三町からなり、中町に本陣・問屋を構え、町の中央に水路を設け日輪にちりん寺を移し、さらに町鎮護のため塩田しおだ観音を総村で借用し、町頭に鎮座させた。問屋は上り一五日を担当することや市日を定めた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の本宮宿の言及

【本宮[町]】より

…観光にも力を入れており,1994年より〈美しいまちづくり条例〉を施行している。【佐藤 裕治】
[本宮宿]
 陸奥国安達郡南部に位置する奥州街道の宿場町。奥州街道から会津街道,相馬街道を分岐する交通の要所で,人馬の往来,物資の集散も多く繁栄した。…

※「本宮宿」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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