本木(読み)モトキ

デジタル大辞泉 「本木」の意味・読み・例文・類語

もと‐き【本木】

木の根もとの部分。⇔末木うらき
「その伽羅に―と末木との二つありて」〈鴎外・興津弥五右衛門の遺書
作品などを構想する中心となる材料
昔物語などの、一興ある事を、―にとりなして事をする」〈習道書〉
以前に関係のあった者。前夫前妻や前に情交のあった者など。
「―を捨つる心にもあらで」〈人・辰巳園・初〉

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精選版 日本国語大辞典 「本木」の意味・読み・例文・類語

もと‐き【本木・元木】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 木の根本の部分。⇔末木(うらき)
    1. [初出の実例]「其伽羅に本木(モトキ)と末木(うらき)との二つありて」(出典:興津彌五右衛門の遺書(1913)〈森鴎外〉)
  3. つぎ木の台になる部分。台木。
    1. [初出の実例]「みればかつ本木の花はちり果てて八重咲きかはるつぎ桜かな〈藤原光俊〉」(出典:新撰六帖題和歌(1244頃)六)
  4. 作品を構想するもととなる材料。中心的素材。
    1. [初出の実例]「申楽のもときには、幽玄ならん人体、まして心・言葉をも優しからんを、嗜みて書くべし」(出典:風姿花伝(1400‐02頃)六)
  5. 以前に関係のあった者。前夫・先妻や最初に情交のあった者などにいう。
    1. [初出の実例]「元木を捨つる心にもあらで、浮薄な色事も終にもつれて」(出典:人情本・春色辰巳園(1833‐35)初)

もとき【本木・元木】

  1. 姓氏の一つ

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の本木の言及

【蹴鞠】より

…懸は付近の建物より2間半以上離れた位置に,4本の木を3~4間を隔てて相対して立てるのを定めとする。木はもっぱらヤナギ,サクラ,マツ,カエデの4種で,これを4本懸といい,根のまま植えつけたのを本木(ほんぎ)とよび,根を切って埋め立てたのを切立(きりたて)というが,いずれも高くけあげる鞠長(まりたけ)の関係から1丈5尺以上として,下枝は演技者の烏帽子(えぼし)のとどく程度とした。また庭上には猫搔(ねこがき)というわらで編んだむしろを敷いて風雨にそなえた。…

※「本木」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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