村国郷（読み）むらくにごう

日本歴史地名大系

村国郷
むらくにごう

• 愛知県：尾張国
• 葉栗郡
• 村国郷

「和名抄」高山寺本・東急本・元和古活字本のいずれも訓を欠く。正倉院宝物の藍袷布幕残闕に「尾張国葉栗郡村国郷」と記すものが当郷の初見である。

郷域について、「大日本地名辞書」は現江南市北部の木曾川に沿った一帯にあてる。加えて、当郷の対岸に所在する同名の郷、美濃国各務（かがみ）郡村国郷に着目し、彼地が本郷で、当郷はその分れたものとの推測もしている。「日本地理志料」は「尾張志、村国方ニ廃、村国村存、按図亘前飛保、後飛保、小杁、宮田、及ヒ美濃ノ国松倉、松本、上中屋、下中屋、神置、大佐野、平島、成清ノ諸邑、其故区也」として、現江南市北部から岐阜県羽島郡川島（かわしま）町および岐阜県各務原（かがみがはら）市の一部を含む一帯に比定する。

村国郷
むらくにごう

• 岐阜県：美濃国
• 各務郡
• 村国郷

「和名抄」所載の郷。同名の郷は美濃国のほかに尾張国葉栗郡・大和国添下郡にもみえる。尾張国の場合は現愛知県江南市村久野（むらくの）に比定されているが、この地は木曾川を挟んで各務郡の対岸にあたる。大和国の場合は平城右京の南端に接する辺り（現奈良県大和郡山市）という。当郷と大和国のそれのいずれが先行するかについては論が分れているが、いずれにせよ村国氏の本拠地であったことは間違いあるまい。

村国郷
むらくにごう

• 奈良県：大和国
• 添下郡
• 村国郷

「和名抄」高山寺本・刊本ともに訓を欠く。大同元年（八〇六）の大和国添下郡司解（林康員文書）に「京南二条一村国里」とあるので現大和郡山市高田（たかだ）町付近と考えられる。

出典　平凡社「日本歴史地名大系」