昭和初期の大東京市を代表する新民謡。民謡調の流行歌ともいえる。発展を続ける昭和初期の東京を唄(うた)で描いて大ヒットした。その背景には1929年(昭和4)の世界経済の大パニックや、中国大陸へ広がる戦火などがあり、庶民は重苦しい気分を転換させたがっていた。そうしたことをくみ取って、西条八十(やそ)が作詞し中山晋平(しんぺい)が作曲し、初めは『丸の内音頭』の名でレコードに吹き込まれた。のちに中山晋平が九州へ旅行した際に聞いた『鹿児島小原良(おわら)節』にヒントを得て、33年三島一声、勝太郎の組合せで新しく『東京音頭』として吹き込まれ、これが東京ばかりでなく、全国的に大流行した。
[斎藤 明]
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