東国原知事誕生(読み)ひがしこくばるちじたんじょう

知恵蔵 「東国原知事誕生」の解説

東国原(ひがしこくばる)知事誕生

東国原英夫は1957年宮崎県生まれ。タレント時代は「そのまんま東」としてたけし軍団の一員として活躍していたが、一方で、女優かとうかず子との結婚(後に離婚)や「フライデー編集部襲撃事件」「淫行(いんこう)事件」などのスキャンダルでも有名と、お騒がせな部分も目立っていた。2000年に早稲田大学に入学した頃から政治を志す言動が目立ち始め、出身地である宮崎県の知事に立候補するのではと噂された。そして、07年1月に前知事が官製談合事件で逮捕されたため、急きょ、知事選挙が行われた際に立候補した。 当初は準備不足もあり、泡沫(ほうまつ)候補扱いであったが、保守分裂という状況にも助けられ、またタレントの応援を頼まず、「宮崎をどげんかせんといかん」という宮崎弁の演説有権者の心をとらえ当選した。タレント候補ではあったが、それなりにしっかりしたマニフェストを用意し、「しがらみのなさ」を強調する政治姿勢と、自らのスキャンダルや離婚も積極的に話題にしていく情報開示の精神が支持されたのである。当選後は「宮崎のセールスマン」を自称し、積極的にテレビなどのメディアに露出し、地鶏マンゴーなどの宮崎ブランドの宣伝に努め、圧倒的な経済効果をもたらした。支持率は一時90%を超えるほどで、その人気年間を通して維持され、同じお笑い界出身とはいえ、横山ノック大阪府知事とは違う新しい無党派旋風を巻き起こし、自民党だけではなく、野党からも「政党離れ」を加速する「そのまんまショック」と恐れられている。

(稲増龍夫 法政大学教授 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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