マンゴー(読み)まんごー(英語表記)mango

翻訳|mango

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マンゴー」の意味・わかりやすい解説

マンゴー
まんごー
mango
[学] Mangifera indica L.

ウルシ科(APG分類:ウルシ科)マンゴー属の常緑大高木。インド、マレー諸島およびインドシナ半島原産。葉は互生し、3~7センチメートルの葉柄がある。葉身は長披針(ちょうひしん)形で全縁、長さ10~30センチメートル、幅4~10センチメートル、革質で表面は濃緑色で光沢があり、裏面は黄緑色でわずかに光沢がある。同一株に雌花雄花および両性花をつけ、枝端に長さ10~40センチメートルの円錐(えんすい)花序をつくる。マレーシア、台湾などでは、1~4月に開花する。果実は核果で5~10月に熟し、広卵形で長さ3~25センチメートル、幅1.5~15センチメートルと品種間変異が大きい。果面は黄白色、黄色、黄赤色などで、まれに赤紫色の斑点(はんてん)のあるものがある。果皮は強靭(きょうじん)でやや厚く、熟すと皮が容易にむける。果肉は黄色から橙黄(とうこう)色で多汁である。核は大きく平たくて、厚いものと薄いものがある。内に胚(はい)をもつが、インド系品種の種子は単胚、インドシナ系は多胚である。種皮木質で表面に繊維があり、長いものは果肉内を走り品質不良となる。冬期15℃以上、生育期24~27℃で、開花期には乾燥する地方でよく生育する。繁殖は共台(ともだい)利用の接木(つぎき)、取木による。品種群として、ムルコバ、アルホンソ、サンダーシャ、カンボジアナ群などがある。

 果実は生食のほか、ジュース、缶詰ゼリー乾果などにする。幼果は料理に使われ、塩漬けチャツネ(カレーの薬味)に向く。メキシコから中央アメリカでは幼果に唐辛子粉や塩をつけて食べる。また花や幼葉を料理する地方もある。

[飯塚宗夫 2020年9月17日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マンゴー」の意味・わかりやすい解説

マンゴー
Mangifera indica; mango

ウルシ科の常緑高木。南アジア,マレー半島の原産で,現在では重要な果樹として熱帯地方で盛んに栽培されている。幹の高さ 10~30m,暗褐色の樹皮をもつ。葉は互生し長さ 10~15cmの長楕円形で先がとがり,縁に鋸歯はない。長い総状花序に無数の小さな花がつく。独特の香りがある虫媒花で,両性花と雄花があり,緑色の萼片と黄白色の花弁が各5枚ある。両性花ではおしべは退化し1個のみが成熟して花粉を生じる。果実はゆがんだ楕円状球形で熟すると橙黄色になる。果肉は生食のほかに缶詰,干菓子,酒などに造られる。種子は薬用,材は堅牢で家具,樹皮から得るゴム質はアラビアゴムの代用にされることもある。熱帯の街路樹,庭園樹としても使われ,日本でも南西諸島や小笠原諸島でわずかにつくられている。

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