動物地理区の一つ。熱帯アジアを中心とする地域で、中国南部、インドシナ半島、マレー半島、インドなどのアジア大陸南部と、スリランカ、スマトラ島、ジャワ島、ボルネオ島、台湾、フィリピンなどの大陸島を含む。北方はインド北西部、ヒマラヤ、中国南部を介して旧北区に、南西部はセレベス島、小スンダ列島、モルッカ諸島を介してオーストラリア区に連なる。インド北東端からミャンマー(ビルマ)、インドシナ半島を経て大スンダ列島に至る地域には熱帯雨林が広がり、インドシナ半島から中国南部、ヒマラヤ東部に至る山岳地帯も豊富な植物に覆われている。西部は比較的乾燥しているが、インド南西部の沿岸域には帯状に森林が走る。
動物相は東部の湿潤な地域でもっとも豊富で、西部ではいくぶん単調で異なった構成となる。さらに東部でも西部でも南北で動物相に分化がみられる。脊椎(せきつい)動物相は、全体としてエチオピア区ともっとも似ており、あわせて旧熱帯区とする見解もある。ほかの熱帯地域(新北区、エチオピア区)に比べると、固有な動物群は少ない。哺乳(ほにゅう)類ではヒヨケザル科、ツパイ科、メガネザル科、トゲヤマネ科が固有で、ほかにオランウータン、テナガザル、インドゾウ、マレーバク、サイ(2種)などを産する。鳥類は66科に上り、多数の特産属があるが、固有な科はコノハドリ科のみで、キジ類やハト類が多い。エチオピア区と似るが、ツカツクリ科やモリツバメ科など数科はオーストラリア区と共通性がみられる。爬虫(はちゅう)類ではオオクビガメ、ガビアルなどいくつかの固有な亜科・科のほかにニシキヘビ、コブラ、オオトカゲなどを産する。両生類はエチオピア区に似ており、固有な科はない。魚類は古いタイプを欠くことと、コイ目が優占することが特徴で、いくつかの固有な科が含まれる。
[片倉晴雄]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…動物の地理分布,すなわち各地の動物相は,大陸,島嶼(とうしよ)配置,気候帯,環境などの地史的要因に規制されるが,そういった動物相の特徴を基にした地理的区分。現在では,ヨーロッパ,アジアとアフリカを含めて旧世界,南北アメリカは新世界と呼び,ユーラシア大陸は旧北区,北アメリカは新北区,両者を合わせて全北区とし,アフリカはエチオピア区,インド,南アジアは東洋区,南アメリカは新熱帯区,オーストラリアは太平洋諸島を含めてオーストラリア区と呼ぶのが一般的である。動物地理区分の提唱はスクレーターP.L.Sclaterの鳥類(1858),哺乳類(1894)についてのものが最初で,A.R.ウォーレス(1876),T.H.ハクスリー(1868)などが続いたが,いずれも鳥獣の分類地理学的な検討に基づくものであった(図1)。…
※「東洋区」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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