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旧北区 きゅうほくくPalearctic region

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

旧北区
きゅうほくく
Palearctic region

動物区の一つ。アフリカのサハラ砂漠以北およびインド,熱帯東南アジア,北極地方を除くユーラシア大陸を含む。日本列島はその東端にあり,渡瀬線をへだてて旧熱帯区の東洋区に接する。旧北区は広大なツンドラ,針葉樹林,広葉樹林,ステップ,砂漠,高山地域を含み,ネズミ,ヤマネラクダ,ヒツジ,ヤギ,アナグマ,タヌキ,イノシシ,キジ,ノガンオオサンショウウオ,コイ,サケの類に固有種が多い。新北区で発生し絶滅したウマとラクダが旧北区に現存し,旧北区で発生したレイヨウ類は新北区に分布しなかった。新旧北区は A.ウォレスによって区別されたが,のちに両区の動物相に共通性が強いことから合せて全北区とし,両区をその亜区とする区分もあるが,現在もなおウォレスの区分が採用されることが多い。

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大辞林 第三版の解説

きゅうほっく【旧北区】

動物地理区の一。ヒマラヤ山脈以北のユーラシア大陸全部、沖縄を除く日本列島、サハラ砂漠以北のアフリカを含む地域。この地域の固有種には、ネズミ・ヒツジ・ヤギ・ラクダ・イノシシ・タヌキ・キジ・ノガンなどがある。 → 全北区

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

旧北区
きゅうほくく
palearctic region

動物地理区の一つ。アジア熱帯地域を除いたユーラシアにアフリカ北端部を加えた地域をさす。アジア熱帯地域(東洋区)とはヒマラヤ山脈によって、アフリカ主要部(エチオピア区)とはサハラ砂漠によって区分される。旧北区は、旧世界の温帯から北極海に至る広大な地域で、植生は変化に富む。北部は広く亜寒帯性針葉樹林に覆われ、さらにその北方はツンドラとなる。アジア東部とヨーロッパ中部以南の温暖で湿潤な地域には、広葉樹林や混交林が発達している一方、内陸は乾燥し、草原あるいは砂漠となっている。日本はそのほとんどが旧北区に属し、その南限は屋久島(やくしま)、種子島(たねがしま)とされる。
 この地域の陸生動物相は旧世界の熱帯地域(東洋区、エチオピア区)ほど多様ではない。さらに、その多くが北アメリカ(新北区)か旧世界の熱帯地域と共通で、旧北区に固有な動物群は少ない。全体として、新北区と旧世界の熱帯地域の要素をあわせもった移行的な動物相とみることもできる。スクレーターP. L. Sclater、ウォーレスA. P. Wallace、ダーリントンP. J. Darlington, Jr.などは独立の地理区として扱っているが、ハイルプリンA. HeilprinやシュミットK. P. Schmidtのように、旧北区と新北区の類似性を重視し、両区を一括して全北区とする考えもある。
 哺乳(ほにゅう)類ではメクラネズミ科、サバクヤマネ科、パンダ亜科、ヤマネ亜科が固有で、ハリネズミ科、ウマ科、イノシシ科、トビネズミ科などが旧世界の熱帯地域と共通である。また、モグラ科、ナキウサギ科、ビーバー科、オナガネズミ科などが新北区と共通である。ほかの代表的な哺乳類としては、トガリネズミ科、イヌ科、クマ科、イタチ科、ネコ科、ラクダ科、シカ科、ウシ科、リス科、ウサギ科、ネズミ科、ヒナコウモリ科などがある。鳥類は50以上の科が記録されているが、固有な科はカヤクグリ科のみで、アビ科、キバシリ科、ウミスズメ科、ライチョウ科、レンジャク科などが新北区と共通で、渡り鳥の多くが旧世界の熱帯地域と共通である。爬虫(はちゅう)類相は比較的貧困で、東洋区やエチオピア区と関連のあるものが多く、マムシ類、クサリヘビ類、コモチカナヘビ類などのなかに固有種がある。両生類では有尾類(新北区と共通、サンショウウオなど)に多くの種があることが特徴となっている。淡水魚ではコイ科が多い。[片倉晴雄]

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世界大百科事典内の旧北区の言及

【動物地理区】より

…動物の地理分布,すなわち各地の動物相は,大陸,島嶼(とうしよ)配置,気候帯,環境などの地史的要因に規制されるが,そういった動物相の特徴を基にした地理的区分。現在では,ヨーロッパ,アジアとアフリカを含めて旧世界,南北アメリカは新世界と呼び,ユーラシア大陸は旧北区,北アメリカは新北区,両者を合わせて全北区とし,アフリカはエチオピア区,インド,南アジアは東洋区,南アメリカは新熱帯区,オーストラリアは太平洋諸島を含めてオーストラリア区と呼ぶのが一般的である。動物地理区分の提唱はスクレーターP.L.Sclaterの鳥類(1858),哺乳類(1894)についてのものが最初で,A.R.ウォーレス(1876),T.H.ハクスリー(1868)などが続いたが,いずれも鳥獣の分類地理学的な検討に基づくものであった(図1)。…

※「旧北区」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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