岩手県岩手郡松尾村(現,八幡平市)にあった硫黄鉱山。1901年の発見で,14年以後松尾鉱業が経営。鉱床は八幡平の茶臼山火山の複輝石安山岩溶岩,火砕岩を母岩とする鉱染状交代鉱床。四つの鉱体が直径約2km,厚さ約100mの範囲に重なっている。鉱石は硫黄鉱(硫黄27%)と硫化鉱(黄鉄鉱と自然硫黄から成り硫黄品位36~38%)で,65年には年産7.25万tの精製硫黄と45万tの硫化鉱を生産した。柱房法による坑内採掘と階段式の露天採掘を行っていたが,石油脱硫による硫黄生産が増え,硫黄価格が低落したので69年に閉山した。現在も,旧坑内から排出される強酸性の坑内水の中和処理が行われている。
執筆者:山口 梅太郎
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