20世紀日本人名事典 「松本慎一」の解説
松本 慎一
マツモト シンイチ
昭和期の労働運動家,評論家 全日本印刷出版労働組合書記長。
- 生年
- 明治34(1901)年11月8日
- 没年
- 昭和22(1947)年11月26日
- 出生地
- 愛媛県
- 別名
- 筆名=橘 樸(タチバナ シラキ)
- 学歴〔年〕
- 東京帝大法学部政治学科〔大正15年〕卒
- 経歴
- 大正15年三省堂に入社。日本共産党の非合法活動に従事、昭和6年コミンテルン極東代表ヌーランの検挙の余波で検挙され、7年日本共産党入党、9年再び検挙され翌年保釈出獄。「国際評論」「世界年鑑」の編集と共に国際政治評論の執筆を行うかたわら、13年京浜共産主義グループを結成。非合法実践のため逮捕され、翌14年執行猶予の判決で出獄。橘樸の名で「中華民国三十年史」を発表、ネールの「印度統一」の翻訳など評論家として活動した。戦後、日本共産党に再入党、全日本印刷出版労働組合書記長、21年産別会議結成では聴濤克巳らと幹事に選ばれた。22年の参院選に出馬したが落選。中央労働学園で教鞭をとったが、戦争中の著書「西洋の追放」で公職追放、共産党員では初の教職不適格者となった。一高、東大を通じ尾崎秀実と親友で、ゾルゲ事件で尾崎検挙後はその家族を援助、公判対策などで尽力した。著書は他に「新世界の構想と現実」など。
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報