20世紀日本人名事典 「林 達夫」の解説
林 達夫
ハヤシ タツオ
- 生年
- 明治29(1896)年11月20日
- 没年
- 昭和59(1984)年4月25日
- 出生地
- 東京
- 学歴〔年〕
- 一高中退,京都帝国大学文学部哲学科選科美学美術史学専攻〔大正11年〕卒
- 主な受賞名〔年〕
- 毎日出版文化賞特別賞〔昭和47年〕「林達夫著作集全6巻」,朝日賞(文化賞)〔昭和48年〕
- 経歴
- 戦前は東洋大、法政大、津田塾大、立教大などで西洋文化論を講じる一方、岩波書店で「思想」の編集に携わり、同誌のスタイルを確立。戦中は東方社理事長として対外宣伝誌「フロント」を刊行。戦後も昭和21〜25年鎌倉アカデミア講師、24〜48年明治大学教授として文芸史、演劇論を講じる。ジャーナリズムの活動としては、20年中央公論社出版局長を務め、26年より平凡社に移り、29年から33年にかけての「世界大百科事典」の編集長としての手腕が高い評価を受ける。自らを知のチチェローネ(水先案内人)として任じ、我国に稀な「百科全書派」として思想界に深い影響を与えた。とくに26年の「共産主義的人間」はスターリニズム批判を先駆的洞察力により行ない、注目を集める。主著に「文芸復興」(8年)「ルソー」(11年)「歴史の暮方」(21年)「思想の運命」(23年)「思想のドラマトゥルギー」(久野収との対談)「林達夫著作集」(全6巻 平凡社)など。ほかに山田吉彦(きだ・みのる)と共訳のファーブル「昆虫記」(5〜27年)もある。平成2年明大に蔵書を収めた“林達夫文庫”(1万余冊)が開設された。
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報