栄禄(読み)えいろく(その他表記)Róng lù

改訂新版 世界大百科事典 「栄禄」の意味・わかりやすい解説

栄禄 (えいろく)
Róng lù
生没年:1836-1903

中国,清末の官僚。満州正白旗人。姓は瓜爾佳(グワルギヤ),字は仲華。西太后の甥,光緒帝の従弟にあたり,主に軍政要職歴任,日清戦争後袁世凱に新建陸軍の編成を推進させた。清朝の祖法擁護を唱えて変法運動に反対し,1898年(光緒24)戊戌(ぼじゆつ)変法には西太后に委ねられて首都周辺の軍権を握り,戊戌政変を起こして皇帝を幽閉,維新派を弾圧した。その後軍機大臣となり西太后の無二腹心として権勢をふるったが,義和団に対しては弾圧を主張,列強との開戦に消極的だった。8ヵ国連合軍が北京に入城すると留京辧事大臣として事後処理にあたり,1902年太子太保,文華殿大学士を与えられた。しかし,翌年病死。文忠と諡(おくりな)された。
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普及版 字通 「栄禄」の読み・字形・画数・意味

【栄禄】えいろく

高い官職と俸禄。唐・李白〔賀監(賀知章)の四明に帰るを送る、応制〕詩 久しく榮祿を辭して、初衣ぐ 曾(かつ)て長生に向ひて息く 眞訣自ら氏(盈)より得たり 恩波應(まさ)に洞に歸るを阻むべし

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「栄禄」の意味・わかりやすい解説

栄禄
えいろく
Rong-lu; Jung-lu

[生]道光16(1836)
[没]光緒29(1903)
中国,清末の官僚。満州正白旗の人。姓はグワルギヤ (瓜爾佳) 。字は仲華。諡は文忠。西太后の甥にあたる。いん生をもって工部主事を授けられ,同治 10 (1871) 年工部侍郎,同 12年には戸部侍郎に進んだ。光緒4 (78) 年都察院左都御史,工部尚書となったが,年末に病のため免職。のち,西安将軍 (91) ,歩軍統領 (94) ,兵部尚書 (96) ,協辧大学士を歴任し,新建陸軍の建設などに活躍した。同 24年,文淵閣大学士,軍機大臣,直隷総督となり,西太后の側近として重要な役割を果し,同 27年には文華殿大学士となった。

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世界大百科事典(旧版)内の栄禄の言及

【戊戌変法】より

…まず光緒帝の信頼の最も厚かった翁同龢を罷免し,ついで二品以上の大臣に新職を授ける権限を光緒帝から奪った。同時に西太后は側近の栄禄を直隷総督兼北洋大臣に任命して,北洋の三軍を統率させた。もちろん,光緒帝側も,保守派の官僚を罷免するなどの反撃を試みるとともに,楊鋭,劉光第,林旭,譚嗣同を新政に参画させるなど,変法派の実権奪取をはかった。…

※「栄禄」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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