株式取引(読み)かぶしきとりひき

改訂新版 世界大百科事典 「株式取引」の意味・わかりやすい解説

株式取引 (かぶしきとりひき)

株式取引は,証券取引所を通じる取引所取引と,店頭取引等のそれ以外の取引(市場外取引)とに大別される。日本では,取引所取引が株式取引の中心をなしている。取引所取引は,制度面でも売買技術面でも高度に組織化されており,日々,大量の売買注文が集中して円滑な取引が行われ,公正な価格が決定されるよう配慮されている。取引所取引の対象は,一定基準に合致した上場株式に限定されている。一方,店頭取引の対象は,原則として非上場株式である。また,取引所取引は競争売買の原則のもとに行われるが,市場外取引の中心をなす店頭取引は相対(あいたい)売買であり,取引価格も当事者間の交渉によって決定される(〈店頭市場〉の項参照)。

 証券取引所の中で会員が集まって売買を行うことを立会いと呼び,その場所を立会場と呼ぶ。会員以外は立会場に入れない。立会時間は,前場と後場とに分かれ,前場は午前9時から11時まで,後場は午後1時から3時までとなっている。投資家の株式売買の注文は,通常,証券会社に出される。証券会社は,その注文を,立会場内にいる売買担当者(場立)に連絡する。注文を受け取った場立は,一定のポストのところに行く。そのポストに集まる売買注文のどれかと,値段数量などについて折合いがつけば,取引が成立する。東京証券取引所は,1982年1月に市場第二部のコンピューター・システムによる売買取引を開始した。取引所取引のコンピューター化は,順次拡大される見込みである。

 取引所取引は受渡し基準で分類すると次の4種類に分かれる。(1)普通取引 全取引の約99%を占め,売買契約締結の日から起算して4日目(休業日を除く)の日に決済を行う取引である。(2)当日決済取引 売買契約締結の日に決済を行う取引であるが,当事者の合意により,その翌日(休業日に当たるときは繰り下げる)に限り決済を繰り延べることができる。(3)特約日決済取引 売買契約締結の日から起算して15日以内の契約の日に決済を行う取引である。ただし,当事者間の合意により決済日を繰り上げることができる。(4)発行日決済取引 未発行株式の取引で,その株式が発行された後の一定の日に受渡しをするものである。なお,このほかに,証券会社が顧客信用を供与して行う信用取引がある。証券会社は顧客から信用取引の注文を受けると,普通取引で売買を行い,あとには証券会社と顧客との間に貸借関係が残ることになる。
株式市場
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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