精選版 日本国語大辞典 「株式市場」の意味・読み・例文・類語
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株式が発行され、流通する市場。債券市場と並んで証券市場の主要な構成要素である。株式市場も債券市場もともに、機能という観点からは、発行市場と流通市場とに分類される。このうち株式の発行市場は、株式会社が株式を発行して長期資金の調達を行う場であり、一般には証券会社の仲介によって、株式が最初の投資家に保有されるまでの過程をさす。これに対して、株式の流通市場は、発行された証券が投資家の間で転々と流通する場(機能)を提供している。
株式の発行は、企業にとって重要な外部資金調達手段であり、そこで調達された貨幣資本は、企業の経済活動のなかに取り込まれ、永続的な資本の循環運動を繰り返す。一方、発行された株式は、擬制資本として投資家の間を転々と流通していく。株式市場は、これら株式の発行と流通にかかわる経済主体のニーズを結合する場であり、資本主義の根幹を支える機能を発揮している。
発行市場と流通市場とは、しばしば車の両輪にたとえられる。時間発生的には、発行市場から流通市場へと流れることから、まず株式が発行されなければ、それが流通することはできない。けれども、株式が発行されるためには、整備された流通市場の存在が前提となり、流通市場がなければ株式発行はむずかしい。株式取引においては、株式が売り手から買い手に流れ、その代金が買い手から売り手に流れる。したがって、企業は株式を発行すれば資金を得ることができるが、流通市場で株式取引により移動した資金は企業の資金調達につながるわけではない。しかし、もし株式の流通が円滑に行われないならば、買い手の将来における換金性が保証されないことになり、株式の購入希望者はいなくなるであろう。このことは、流通市場が活況であるほど、企業の株式発行による資金調達が容易になることを意味する。このように、発行・流通市場は相互依存関係にあり、バランスのとれた発展が望まれるのである。
発行市場は、特定の常設市場が存在しているわけではなく、企業の資金需要に応じて証券会社が投資家との間を仲介するが、流通市場のほうは多様である。具体的には、証券取引所(金融商品取引所)が開設する取引所市場、PTS(私設取引システム)、上場銘柄の取引所外取引などが株式流通市場を構成している。
従来、上場株式の取引は市場集中義務が定められており、原則として取引所での売買しか認められていなかった。しかし、日本版金融ビッグバンの進捗(しんちょく)に伴い市場集中義務は廃止され、現在では多様な取引市場間での競争関係が促進されるようになった。ただ、市場規模としては取引所市場(とくに東京証券取引所)が圧倒的に大きいのが実情である。
[高橋 元 2018年8月21日]
『服部泰彦著『現代の金融資本と株式市場』(1993・法律文化社)』▽『嶋田浩至著『よくわかる株式のしくみ』(2000・日本能率協会マネジメント)』▽『寺尾淳著『株のしくみ』(2000・ナツメ社)』▽『ロイター・リミテッド著、小島秀雄・小川真路訳『株式市場入門』(2000・経済法令研究会)』
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…その後,国債その他の公共債の発行額が増大したので,資本市場の対象は,これら公社債と株式の発行を引受け・消化,ならびにその売買の総過程をさすことになり,証券市場と同義語として用いられている。それは対象証券からは株式市場と公社債市場に分かれ,取引の内容からは両市場について発行市場と流通市場を含む。 ところで,日本の企業は長期資金の調達にあたって株式・社債の発行のほか金融機関からの長期借入金に依存しており,しかも借入金がこれまで主要な資金調達手段であった。…
…これら両市場は証券市場の構成要素として対等の重要性を有し,両者相まって証券市場は後述するような経済的機能を果たすことができる。また証券市場は,そこで取引される証券の種類によって株式市場,公社債市場,受益証券市場の三つに分類される。株式市場は株券が発行され,また流通する市場である。…
※「株式市場」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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