核異性(読み)カクイセイ

デジタル大辞泉 「核異性」の意味・読み・例文・類語

かく‐いせい【核異性】

原子番号質量数が同じ核種で、半減期やエネルギー状態などが異なる現象
構造異性の一。環式化合物の環の部分結合する置換基の位置相違などで起こる。環を形成する原子間の結合の違いによるものもいう。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「核異性」の解説

核異性
カクイセイ
nuclear isomerism

原子核を構成する陽子中性子の数に関してはまったく同一でありながら,異なったエネルギー準位に存在し,半減期も異なる核種は,互いに核異性の関係にあるという.記号としては,質量数を示す数字の後にmetastable(準安定)状態を表すmをつける.たとえば,臭素放射性同位元素 3580Br は18 min の半減期でβ崩壊を行うが,ほかに4.4 h の半減期をもつ 3580mBr がある.この場合,3580Br と 3580mBr は互いに核異性体であり,核種としてはまったく別のものとして取り扱う.【有機化学では,(1)環式化合物において,構成原子間の結合位置が異なるために生じる骨格異性(図)や,(2)複素環化合物中のヘテロ原子の相対的位置が異なる環異性,たとえばピリミジンピリダジンをいう.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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