植物の根に根粒菌が侵入したときにできる粒状の構造。マメ科植物の場合にはRhizobiumが侵入する。
マメ科植物以外にも根粒の形成される例は多く,木本ではむしろごくふつうの現象とさえいえる。ハンノキやヤマモモでは放線菌の1種のFrankiaが根粒をつくり,窒素固定を行っている。この菌も根粒菌の一種である。また,根粒類似の構造がソテツにもみられる。ソテツ類の根には,地表近くへ上向きに伸びるものがあり,二叉(にさ)状に分岐して,根粒のようなこぶ状の構造をつくる。このこぶ状の構造の皮層に環状の層ができ,そこに藍藻(らんそう)の1種のAnabaena cycadeaeが入りこんでいる。この藍藻がそこでどんな役割を果たしているのかは明らかにされていないが,その層のソテツの根の細胞の染色体数に減数の起こっていることが報告されている。なお,マメ科植物の根粒をつくる細胞が4倍体であることも知られている。
執筆者:岩槻 邦男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
マメ科植物の根に侵入した根粒細菌によって根の細胞が増殖してこぶ状の膨らみになった部分をいう。また、マメ科植物以外で、放線菌によって同様にできたこぶも根粒とよぶことがある。
[編集部]
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